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佐賀研修で見つけた二人の巨匠

前回、芸術探訪で福岡に足を運んだとき、ひとつ心残りがありました。
それは【動き出す浮世絵展 FUKUOKA】に立ち寄るはずだったのに、なぜか気づけば裁判所で傍聴三昧。
さらに伊藤潤二展では、「気持ち悪い」を越えた「きゃーじゃーりー」な作品たちに夢中になり時間切れとなってしまったことです。😣

そんなわけで、「動き出す浮世絵展」に行けなかったあの日から少しモヤモヤしていたので、やり残した美術の宿題を取り戻すべく今回は佐賀へ。
目指すは、佐賀県立美術館で開催中の『北斎・広重 大浮世絵展 -巨匠対決!夢の競演 北斎vs広重 あなたはどっち派?-』です。
よし♪リベンジだ。時代を越えた巨匠たちの競演に、いざ推理(という名の鑑賞)開始!😎

といっても、全然浮世絵に詳しくないので、浮世絵初心者のわたしでも腑に落ちたポイントを中心にまとめてみました。

こちらの2枚の作品
どちらが歌川広重でどちらが葛飾北斎かってすぐわからないレベルです。。😶‍🌫️

葛飾北斎といえば、ほら、あの、えと、波がざばぁぁ~んで、歌川広重といえば東海道五十三次で。えっと、じゃ右の絵は旅行っぽいから広重だな(よくみりゃ書いてある。)
そんなレベルなので、まずは江戸時代の「浮世絵」ってそもそもなんだって話から。

江戸時代、都市に人が集まり出版文化が花開きました。(文明開化だぁ~)
多色刷りの木版技術(錦絵)が発達し、手頃な価格で買える絵→浮世絵が大流行になりました。
浮世絵の主なテーマを大別すると「役者(歌舞伎)・美人(遊郭)・名所(風景)」の三本柱です。
わかりやすくいうと「推しの役者のブロマイド」「旅のガイドビジュアル」「江戸の今っぽいもの全部」みたいな、大衆のためのポップカルチャーだったといえます。

まずは、葛飾北斎

  • 代表作:『富嶽三十六景(神奈川沖浪裏)』『北斎漫画』『富嶽百景』 など

  • 影響を受けた/与えた:印象派(ゴッホ、マネ、ゴーギャン)、彫刻家ロダン、作曲家ドビュッシー ほか

  • 豆知識:長い生涯で「93回引っ越した」とも言われる“落ち着かない天才”(伝説的な数字ですが、転居が多かったのは本当らしいです)

《富嶽三十六景》は、北斎が60〜70歳前後の円熟期に挑んだシリーズ。
有名な《神奈川沖浪裏》は、巨大な波と富士山、そして小舟のドラマチックな対比が圧巻で“自然の力に人間がどう向き合うか”という緊張感が画面から溢れます。
また『北斎漫画』に見られる戯画・変顔・妖怪など、ホラーとユーモアの境界線を楽しむような視点も魅力的です。
「怖いんだけど、ちょっと笑える」──ホラーとお笑い、やっぱりどこか似ている気がします。伊藤潤二展と繋がってきた♪😀

そして、歌川広重

  • 代表作:『東海道五十三次』『名所江戸百景』 など

  • キーワード広重ブルー(プルシャン・ブルー/ベロ藍)、やわらかなグラデーション、しっとりした情緒

  • 豆知識江戸の定火消(今の消防士のような感じ)となり、その後に絵師として頭角を現します。

広重と言えば、やっぱり旅と風景
最初は「やっぱ浮世絵っしょ、美人画っしょ、役者絵っしょ!」と意気揚々と歌川豊国の門を叩いたんですが、なんと満員御礼。
「えっ…定員とかあるの?」「マジすか無理すか…」と肩を落としつつも、そこで腐らないのが広重さん。
「ならばこっち~~ッ!」と風景画の名手・歌川豊広の門を叩くや否や、これが大当たり。
気づけば“広重ブルー”で世界の画家たちを魅了するレジェンドに…。

ほんと、人生ってどこでボタンかけ違えてスター街道に乗るか、わからないもんですねぇ。よし、私ももっと流されよう。何かに身を委ねよう~🫠

で、両巨匠が区別がつかない(私だけか。。)理由として
・どちらも江戸の今を切り取り大衆に届く絵を徹底的に作った
・シリーズモノ(北斎=富士、広重=東海道ほか名所)でブレークした
という共通点があったからのようです。

そして私がみてそれぞれの異なった特徴は
人や筋肉の描き方:北斎は相撲取りのような“関取体型”のどっしり感、広重はグラップラー刃牙のような“バキバキ感や筋繊維が見える感じ
色のイメージ:広重=青(広重ブルー)、北斎=鮮やかな配色(肌色ピンクが印象的)

どちらも魅力的な作品が約200点ほどあったと思います。広重の滑稽絵、北斎漫画など多彩な作品もたくさん見れました。🤓

どちらも江戸をテーマにした作品でしたが、視点も色も感情もまるで違うのが面白いと感じました。
個人的には、北斎は「視覚で衝撃」、広重は「心にじわじわ」な印象です。👀

今回は浮世絵の奥深さに触れるリベンジ旅。
浮世絵は詳しくない私でも、シリーズで追う・色で見る・ユーモアを探すだけで、ぐっと距離が縮まりました。
どっち派かは、もちろん決められません。

青の魔術師・広重が旅の景色に心を染め上げれば、波の魔術師・北斎は脳内にツナミで以って押し寄せてきます。

そして何より心に残ったのは、広重の「満員だったんで別の師匠に行きました」っていう軽やかなキャリアチェンジ。まさかそれが世界に轟く広重ブルーの始まりになるなんて、ご本人もびっくりでしょう。

人生、回り道も必要というか、必要な回り道には出会うものですね。
空きがなければ、道を変えればいいじゃない。
北斎も93回引っ越してるし。

そんなわけで、次回の浮世絵探偵活動に乞うご期待!
(ちなみに今は“写楽”を捜索中です)

 

 

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