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何気ない会話の中で言ってしまった言葉がいけなかった。
「おれ、雲が好きなんだよね~」
「なにそれ?笑」みたいな空気が受話器の向こうから伝わってきました。

 

しまった!油断してしまった。
イベント行事の打ち合わせをしていた電話での雑談で、
友人の女の子についしゃべり過ぎてしまった。
今後、仲間うちでネタにされてしまうかもしれない。
陰で笑い者にされてしまうかもしれない。
「あの人、雲が好きらしいよ」 クスクス。
「まじで!? よくそんな自分に酔ったこと言えたよな」 ケラケラ。
「蜘蛛のまちがいなんじゃねーの?」 グハグハ。
 

なんとおそろしい……。

その夜、わたしは急いで当時の愛読書を押し入れの奥にしまい込みました。
雲、封印です。


 

それからまた数年後。
テレビ番組『アメトーーク!』の「カメラかじってる芸人」の回で、小藪氏が言った言葉でふたたび血の気が引きました。(2013年放送)

「カメラぶら下げて町歩いてるベレー帽斜めにかぶったような女、山ほどいてますやんか。そんなヤツがだいたい撮ってるのんて、空か、ネコ、犬、おしゃれなカフェのカプチーノ上から、絶対これです。あと、あの、ちっちゃいサボテンね」
 
やべえ……。
自分のカメラの中、ななめベレー帽女子とおんなじ。
とくに空。
 
このような経験を通して、わたしは「空が好きだ」「雲、いいよね」と発言することは、「自分に酔ってて、チープで安易でとても恥ずかしいことなんだ」と思うようになりました。
 
そのセリフをどうしても言いたいのであれば、スピードワゴンの小沢くらい振り切ったキャラになって言うしか方法がないんだと。
 
それからというもの、空にカメラを向けるたびに、
「あ、またダメなことしている」と自己否定です。 Continue reading