「言葉が意識を作る」とはよく言いますが、以前目撃した幼稚園の先生は、まさに最強の「意識デザイナー」でした。
遠足中に「先生~、疲れた~~👶」と訴える園児に対し、通常なら「もう少しだから頑張ろうね」とか「みんなも疲れてるよ」と励ましたり発破をかけたり言葉で以って寄り添ったりするのがセオリーかと思うのですが、その先生が放った切り返しの一言は衝撃的でした。
「疲れない!!」
受容や寛容ではなく無、「疲れない」。
すごい言葉です。「疲れる」という概念そのものを否定し、この世から消滅させたのです。その発想の転換、脳内の当たり前をグルンとひっくり返すパワー。
デザイン的にも非常に興味深いアプローチだなぁと感心した覚えがあります。🏋️
命令でもなく扇動でもなく、断定。
「君の辞書、はたまた世の中には『疲労』という言葉、すなわち概念は最初から存在すらしない」という現実改変能力(リアリティ・ディストーション)。
疲れるという現象そのものを「無かったこと」にする、究極のポジティブ・デザインです。私はその強引ながらも哲学のような鮮やかな手腕に、一種の感動すら覚えました。
しかし、今回の体験を経て確信しました。
どんなに意識をデザインしても、物理的な現実は変えられないのだと。
もし仮に、この世に「疲れる」という言葉が存在しなかったとしても、今回の私は間違いなく、その言葉をゼロから発明して叫んでいたことでしょう。🕵🏽♀️
それほどまでに、身体が悲鳴を上げました。😵
そうです。今回、大好きな街・熊本で開催された「熊本城マラソン」に参加してきたのです。

3週間ほど前に肉離れを起こし、病院の先生からは当然のように「当分は安静に」との判決を受けていました。
はい、身体は従いました。お地蔵さんのように微動だにせず安静にしていました。😒
ですが、頭の中はリオのカーニバルのように「躍動」しておりまして、諦めるどころか布団の中で「どうすれば走れるか」だけを検索し続ける日々。
その執念が実ったのか、久留米市でご自身もランナーをされている鍼灸院の先生に出会いました。
中国鍼でツンツンツンツンしてもらい、フォームの矯正や脚の使い方の極意を授かり、ギリギリまで地蔵と化し、迎えた大会3日前。
試しに2km走ってみたところ……痛みがない。
気づけば私は、早朝の朝焼けに向かって叫んでいました。
「いけるぞこれはーーー!!!🏋️」(←近所迷惑)
その一言で、医師の「安静に」という言葉は記憶からログアウト。
こうして私は、常識よりも衝動を選び、スタートラインに立つことになったのです。
熊本城マラソンは、とにかく沿道の応援が熱いことで有名です。
スタートからゴールまで途切れることなく「がんばれ~」の声。
中には「あとたった40km!」という鬼のようなプラカードや、「抽選で外れた私の分も走って」という重みのあるメッセージ、さらには太鼓、サックス、ギターにエレクトーン。
もはや野外フェス状態で、自分で用意した音楽を聴く暇もありません。
「やっぱり熊本は最高だな~~♪」

そう思っていたのも束の間。
25kmを過ぎたところで、私の体力タンクは底をつきました。😞😞
私は明確に“走る人”ではなくなりました。
こうなると、トボトボと歩くのが精一杯です。
30km地点の看板を見て「あと12kmて……」と絶望。💀
35kmを過ぎて飛んでくる「頑張れ~」の温かい声援にも、心の中で「頑張ってる……頑張ってた……」とやさぐれる始末。😑
なんとか気分を盛り返そうと、温存していた自分のイヤホンで大好きな音楽を再生したものの、
「イントロ長いな! 早くサビを歌え!!」
と、好きなアーティストにまで悪態をつく始末です。🦹♂️
人間、余裕がなくなるとここまで最低になれる。
そんな自分の「心の闇(ダークサイド)」を見つめながらのゴールとなりました。
さて、今回の事件(マラソン)から得られたデザイン探偵としてのプロファイリング結果です。
私が音楽のイントロにイライラしたあの瞬間。あれこそが「余裕のないユーザー(利用者)の心理」そのものです。
普段なら「情緒」として楽しめるイントロ(演出)も、極限状態ではただの「ノイズ(障害)」に変わります。
私たちはデザインをする時、つい「ユーザーは元気で、時間があって、心に余裕がある状態」を想定してしまいがちです。だから、凝ったアニメーションや、回りくどいキャッチコピーを入れてしまう。
しかし、現代人は忙しい。
あるいは私のように、何か(仕事や筋肉痛)に追い詰められて、心の体力が「25km地点」にいるのかもしれません。
そんなユーザーが求めているのは、
「素敵なイントロ」ではなく、「すぐにサビ(結論・解決策)を聞かせてくれること」。
- 1秒でわかる見出し
- 迷わせないボタン
- 結論から話す優しさ
「早くサビを歌え!」という私の身勝手な叫びは、実は「ユーザビリティ(使いやすさ)の本質」を突いていたのです。
かっこいいデザインも大切ですが、余裕のない人にも優しい「最短距離のデザイン」。
それが本当の「おもてなし」なのかもしれません。
なんだか書いてて「最短距離」って言葉が改めてあんまり好きじゃないって気づいたのと同時に、マラソン時の自分が確実にそうなってたのにも気づきました。。
身体も汗で獣のように臭いし。。
完走メダルを首にかけ、タオルを掲げている写真の私は、一見すると「達成者」の顔をしています。
けれど、その内側で感じていたのは、感動と同じ分量の「情けなさ」でした。
医者の「安静に」という合理的判断を無視し、衝動だけで走り出し、苦しくなれば大好きなアーティストに「早くサビを歌え」と悪態をつく。
普段、「論理」や「設計」を語っている大人が、ここぞという極限状態では、ただの「ワガママな5歳児」に成り下がっていました。
42.195kmという距離は、長い旅のようでいて、実は大人の分厚い「メッキ」が剥がれ落ちるまでのカウントダウンだったのかもしれません。
完走という達成感と共に、自分のどうしようもない未熟さを骨の髄まで突きつけられる。
だからこそ、マラソンはやめられない(あるいは懲りない)のかもしれません。
ということで、大会を終え2日が経っていますが、全身疲労と筋肉痛で、頭が回らずアナログで、身体は動かずロボットです。
これから数日間、デザイン等のお打ち合わせで会社などに訪問させていただく際は、不自然な動きで伺い、何一つしゃべらない、それどころかそもそも話を聞いていない可能性が多分にあるかと思いますのであらかじめご了承いただけますと幸いです。
※上記の症状は、全身疲労および筋肉痛が完治してもさほど変わらないので併せてご理解の程よろしくお願いいたしますm(__)m

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