2020年7月吉日。
八女市のとある村にて。
車をとめてカメラを持って散歩していると、畑仕事をされているおばちゃんの姿が。
そのあたりをグルっと回って、さっきの畑に戻ってくると、まだお仕事をしてありました。
しばし休憩中のご様子。
「こんにちは」 と声をかけてみました。
振り向いたおばちゃんのお顔がとてもやさしそう。
よかった…。
ドキドキしながら声をかけたのでホッとしました。
「あなたはどこから来なさったの?」とか、「先日の大雨の被害はなかったですか?」など話しながら、少しだけご家族のこともお話になってくださいました。
旦那さんを昨年亡くされたそうで、今はひとりで畑仕事をされているそう。
福岡市におられる息子さんがたまにいろいろと買物をして持ってきてくれる、と嬉しそうなお顔。
「写真を撮らせてもらっていいですか?」
「あら~、わたしなんか撮ったってなんにもならんよ」
と照れくさそうにされてましたが、
「いえいえ、ぜひとも」とお願いいたしました。
「じゃ帽子もとって座った方がいいかしら?」
「いいですね~モデルさんのようです」
パチリ。
「写真ができたら持ってきます」とお礼を言って帰りました。
再会の日
2020年9月晴れの日。
「こんにちは~」
畑仕事をしているおばちゃんを見つけ、背中ごしに声をかけました。
「遅くなりましたが、写真をもってきました!」
おばちゃんは、「あら~」と思い出してくださいました。
「あなたは筑後の方やったね、わざわざすみませんね~ありがとうね~」
と笑ってうけとっていただきました。
「あ、ちょっと。芋を掘ってあげるから持って帰んなさい」
といって、おばちゃんはカマで葉っぱをバッサリ切って、クワをで畑の土を掘りおこしておられます。
「ぼくも手伝います!と」言っても、「いいのいいの。汚れるからね」と。
「ひとりじゃ食べきれないくらいたくさん出来るから、親戚やお友達が来られたら配ってるのよ」
実はわたくし、お恥ずかしながら里芋を掘って収穫するところをはじめて見ました。
新鮮で感動です。
最後に掘り起こした里芋を洗ってくれました。
黒いホースから出ている水は湧き水らしく、ずっと勢いよく出てます。
泥だらけだった黒いかたまりがゴシゴシと磨かれ、なじみのある里芋のフォルムが顔を出しました。
すごく美味しそう!
会話の中で、85歳ということを教えてくれたおばちゃん。
びっくりしました。とてもお若い!
(わたしからお歳を聞き出したわけではありませんよ…。念のため)
「冬はこのあたりは日が当たらなくてね、すごく寒くなるんよ」
「近くにきたら、またお立ち寄りします」
「またおいで」
夕方の冷んやりとした空気の中、里芋が入った袋を左手にもって少し離れたところに停めていた車まで歩いていると、ふいに涙が出ました。
ずっとずっとお元気で。ほんとうに。