4月の日曜日。
日帰りですが、京都まで養老先生の話を聴きにいってきました。
 

養老先生のかんたんなプロフィール

書く必要はないかな……、とは思いましたが、
一応かんたんな養老先生のプロフィールを。
 
養老孟子(ようろうたけし)氏は、東大医学部卒で解剖学者。
現在、85歳。(2023年4月現在)
 
第二次世界大戦後の日本における歴代ベストセラー、
第5位である『バカの壁』(2003年)は、450万部以上発行され、
養老孟司氏の名前は世の中に知られることになりました。
(ちなみに第1位は『窓際のトットちゃん』黒柳徹子著です)

とは言え、それ以前から解剖学の世界では養老先生は有名だったようです。
なぜなら、
1996年に上映された『ガメラ2』に、北海道大学獣医学部の教授役として出演され、
ガメラの敵である小型レギオン(怪獣)を解剖しておられたからです。
 
怪獣の解剖!
 
世の中には数多くの解剖学者がいると思いますが、
怪獣を解剖したことのある方は、そうそういないと思われます。
出番はほんのちょっとだけでしたが、いい味出されておられました。
(ちなみに主演は水野美紀さんです)
 
本は100冊以上執筆されていて、
雑誌での対談や、テレビ出演もたくさんあります。
YouTubeのチャンネルも持ってあります。
 
趣味は、小さいころからやってるらしい『虫集め』。
なかでもゾウムシに夢中のようです。
箱根に、「養老昆虫館」というものを作られており、
その中には昆虫の標本がたくさん並んでいます。
 

養老先生についての先入観と実際の姿

養老先生に興味をもったのは、その数ある書籍を読んで……、
と言いたいところですが、
実は養老先生が飼っていた猫の「まる」ちゃんがきっかけでした。
ちゃんと正確に書くならば、 Continue reading

「葉っぱも食べなさい」

そう言われたのは、となりにいた同級生の友達。
となりで桜餅を食べていた小学5年のぼくはギクリとしました。
彼のお父さんが自分の息子にそう言ったのです。
友達の方を見ると、取りかけた葉っぱを桜餅に戻して、不満気に食べていました。
 
その場にはわたしの父もいましたが、そのとき父は何も言いませんでした。
(葉っぱも食べないと怒られる家があるんだ……きびしいなあ……うちが甘いのかな……)
と、手に桜餅を持ったまま考えていました。
 
それまでに、桜餅の葉っぱ、食べたことはあったんです。
でも、桜餅のおいしさを一瞬で台無しにしてしまうような理解不能な味がしました。
「桜餅は葉っぱ付きで食べた方がうまいよな。あんの甘さと葉っぱの塩味のハーモニーが最高だよ」
と、そんなセリフを吐く口の肥えた通好みの友達なんか、
小学生のわたしの周りには1人もいませんでしたから、
葉っぱを食べるのは大人だけだと思ってました。
 
(いつものように葉っぱ剥がして食べようかな……。
友達のお父さんが、よそん家の子供まで怒ることはないだろうし。
でも、ぼくが葉っぱを剥がして食べたら、
ぼくのお父さんはきっと[しつけの出来ない父親]と思われるに違いない。
それはなんか悔しいし、お父さんがかわいそう。
おっとつぁんの顔にどろを塗ってはいげねー。
よし、やっぱりここは葉っぱごと食べよう!
まかせとけ、父ちゃん!)
 
そう決意したわたしは、
いつもこうですけど、みたいに涼しい顔をしながら、
葉っぱをつけたままの桜餅にかじりつきました。
 
しょっぱい。
(やっぱ剥がして食べればよかった……)
 
しかたなく、残念な桜餅をちびちび食べたわけなんですが、
わたしの記憶の中には、このとき父が桜餅を食べてる姿はないんです。
なぜか、背中だけをおぼえています。
 
当時は、
(「葉っぱも食べなさい」なんて言われない、子供に理解のある家に生まれてよかった~)
って単純に思ってたけど、 Continue reading

WBC、盛り上がりましたね。
侍ジャパンは決勝戦でアメリカに勝利し、世界一となりました。
 
大会が終わってからも、テレビ、ネットのニュースでは後日談の話題で持ち切りです。
なかでも1番注目されたのは、なんといってもMVPを獲得した大谷選手でしょう。
まるで映画を見ているようなシナリオの中、それを期待以上に演じきったスーパーヒーローは、世界中の人々を魅了しました。
 
プレー以外の部分でも大谷選手は魅力的です。
相手チームの選手との握手、審判への接し方、試合前のチームメイトやコーチとの笑顔など。
 
無難なコミュニケーションを基本にしているわたしに比べると雲泥の差です。
海と膿くらい違います。
ガッキーとゴッキーくらい違います。
 
よし、あの社交性を見習おう。
そして、この業界のオオタニになろう。
大谷と横並びに語られる日がくるように。
 
試合を見て興奮してたわたしは、小4男子みたいに単純でした。
 
 
WBC決勝戦が終わった日の午後、
わたしはフレンドリーコミュニケーションをイメージしながらお客様のところに向かいます。
まず手始めとしてはこんな感じでいいでしょう。
 
「こんにちは! 
侍ジャパン、世界一!やりましたね~!
今日は仕事どころじゃありませんね。いえいえ冗談です。ハハハ。
ちゃんとお約束してた件でお伺いしました」
 
普段の「無難な対応」、
言い換えれば「おもしろくない対応」に比べれば、
ここまで「開いた対応」ができるなら上出来です。
 
ボクはオオタニ。ヒラいたコミュニケーションがデキルヒトだ。
そう言い聞かせながら、お客様の扉を開きました。
 
「こんにちは。
……。 Continue reading

「パソコンの調子が悪いので見てほしい」という連絡をお客様からいただきました。
ちょうど近くにいたので当日に駆けつけることができ、無事に解決です。
連絡をいただいた社長に「終わりました」と挨拶をして帰りかけていると、社長の奥様から「はい、どうぞ」と、リボンのついた袋に入ったチョコレートを差し出されました。この日は2月14日でした。
 
「え?いいんですか?ありがとうございます」
「どうぞ」とにっこりされる奥様に向かって、
「これ、余ってたんですか?」と尋ねるわたし。
奥様は笑いながら、
「そんなんじゃないですよ。ちゃんと永松さんのためのチョコレートですよ」
と言ってくださいました。
 
なんと野暮な男なのか……。
訪問の予定はない日に急きょ訪問したわけだから、わたしのためのチョコレートではないのは明らかです。
にもかかわらず、お客様は機転を利かせ、すてきな言葉まで添えてくれたのに「余ってたんですか?」って聞く男。
イケてないにもほどがある。
モテないはずである。
 

反省しながら車を走らせていると、小5のときを思い出しました。
 
 
いつもの友達4人で帰宅中、バレンタインデーの話題になりました。
「明日、女子がチョコを男子に渡すという噂が流れてるよね」
「おれ、誰からもらったとしても断るばい」
「ぼくも、もしもらえたとしても、もらわん」
「俺も興味ない」
「うん、みんなでそうしよう」
 
4人の小学5年生男子が話し合いの末、導き出した答えは全員一致で、
「チョコをもらう男はかっこ悪い」
でした。
価値観が思いっきり古い気がしますが、昭和58年の話なのでご勘弁ください。
(今は、学校にチョコを持ってきてはいけないという決まりになっている学校もあるそうですね)
 
翌日、バレンタインデー当日。
ぼくら4人にもチョコをくれる女の子が現れました。
4人で「チョコもらわない同盟」を結束して24時間にも満たないうちに、わたしは「あ、ありがとう」とあっさりと受け取ってしまいます。
 
やばい……友達に見られたらどうしようと思っていると、昨日一緒に誓い合った盟友たちもドギマギした顔で素直に受け取ってる姿を発見。
「なんだ、みんなもらってるやん……」
安心したような、裏切られたような不思議な気持ちを感じていると、教室の後ろの方で大勢の女子が誰かを取り囲んでいるのが見えました。 Continue reading

彼のことをみんな「周ちゃん」と呼んでいました。
 
周ちゃんは生まれつきのハンデキャップがあり、人と上手にしゃべることが出来ませんでした。
わたしのひとつ下のいとこです。
両親と2人の弟とおばあちゃん(母方)の6人で暮らしていました。
おばあちゃんは周ちゃんのことをとてもかわいがっていて、周ちゃんもずっとおばあちゃんの後をついて回っていました。
 
18歳からは施設に入って暮らしていた周ちゃん。
月に1回、外泊で自宅に帰ってきていたみたいです。
そして、お盆や正月の集まりには、周ちゃんも親戚のみんなと一緒の時間を過ごしました。
 
毎年の恒例行事となっている1月2日の正月の集まり。
お座敷の部屋に大きめのテーブル(座卓)が3つくらい横に並びます。
たくさんのおせち料理、鉢盛、鍋、刺身などがところせましと置かれ、20名前後の人たちがざぶとんに座り準備完了。
周ちゃんのお父さんでもあるおじちゃんから一言挨拶があり、「乾杯」で食事がはじまります。
 
が、乾杯の前から周ちゃんはすでに大好きな刺身をモグモグと夢中で食べていました。
毎年そうでした。
みんなはニコニコとその姿を見ていました。
 
お先にお腹いっぱいになった周ちゃんは、みんながまだ食事中なのはおかまいなしで、部屋を出たり入ったり、別の部屋のこたつで横になっていたりしていました。
それでもみんなは何も言いません。
みんな周ちゃんがここにいることが嬉しかったので、そんなことはどうでもよかったのです。
 
わたしも毎年、周ちゃんに会うたびに「周ちゃん、こんにちは」と声をかけました。
そんなとき周ちゃんは、どうしたらいいか分からずにいつもわたしから逃げるようにどこかに行ってしまっていました。
周ちゃんとの壁を感じて寂しくも感じましたが、それでも周ちゃんに話かけたこと自体がうれしくて、わたしは満足していました。
 
周ちゃんはみんなと話ができません。
でも、自分のお母さんのところには自分から何かを話に行きます。
お母さんのところに行って、何かを訴えるかのように小さく短い言葉を口にしていました。
その声を近くで聴いたことがありますが、わたしには周ちゃんが何を言っているのかは分かりませんでした。
でも、お母さんは、周ちゃんが何を言っているのか、すぐに分かるのです。
「何か飲みたいとね。はい、おいで」
と冷蔵庫の方へ2人で行ったり、
「そうね。よかったね」と笑ってる周ちゃんのお母さんの姿を見ていました。
周ちゃんはお母さんのことが好きなんだな~。
お母さんも周ちゃんのことが大好きだから、2人は気持ちが伝わるんだろうな~と思って見ていました。
叶わない夢かもしれないけど、いつかぼくも周ちゃんと少しでいいから話してみたいな~。
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珈琲店でパソコンを開いて仕事をしていました。(いわゆるカフェ)

 

壁(窓)向きのカウンター席って集中できるからいいですよね。
この店は勉強(仕事)コーナーがあり、コンセントも使えるしちょくちょく利用させてもらっています。

 

そういえば、今日は共通テスト(旧センター試験)の日。
夕方になると、学生さんたちで席がいっぱいになりました。
受験生は追い込みの時期です。
みんな参考書や問題集を開いてもくもくとノートに何か書いていました。

 

パソコンを開いて別の作業をしている自分がなんだか場違いな感じにもなってきたし、
これから来る学生さんたちに席をゆずる意味も込めて、そろそろ帰ろうかなと思っていると、友人からLINEが届きました。
 
数学の問題らしい写真が載っています。
その写真のあと、「お願いしますだ」とメッセージが来ました。
 
中学生の娘さんに「教えて」と言われたけどパパが分からなかったんでしょう、何はともあれヘルプのようです。
 
中学生の数学だったら、少し考えれば分かるんじゃないかな。
 
さて、どれどれ。

 

 

「関数y=ax²…」さっぱり分かりません。
問題の意味からしてわかりません。
中学の数学をなめてました。
隣の女の子に、「ねーねー、この問題わかる?」と聞くわけにもいかずググりました。
二次関数の基本的なことが書いてある記事を読みました。
YouTubeも見ました。
塾の講師が二次関数の解説をしているのをノートをとりながら数本見ました。

 
周りから見たら私も受験生に見えたはずです。
(あなた三十浪くらいしてるの?今年こそはがんばんなさいね)と思われてしまうような受験生に。
 
数学の問題を解いていると、
周りの学生と一体感を感じるような、
この部屋にいることを許されたような不思議な気持ちになってきました。
 
きれいな解き方ではなく強引な導き方のような気がしますが、なんとかかんとか3問中2問は解けました。
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「え?もう1年が終わるわけ?」
と、愕然としているうちに、気が付くと新しい年がはじまっていて呆然とするというパターンを繰り返しています。
ここ数年ずーっと。

 

なんでそうなってしまったんだろう。
「今年も終わるんだな~」と、ラジオから流れてくる『雪の降る町 ※』を聴きながらしみじみ感傷的になっていた時代がなつかしい。
(※ ユニコーンの歌)

 

センチメンタルな青年期は過ぎて、現実や日常と向き合わざるをえない大人になったんだよ、と言われればそれまでなんでしょうけども。

 

だいたい、「歳をとるたびに時間が過ぎるのが早く感じる」というのが厄介な問題なんですよね。
来年、再来年、そして5年後と、どんどん加速してしまうわけですから。
センチメンタルな12月はもう一生味わえないことになります。
まあ、センチメンタルな12月はもう無理だとしても、
せめて「今年は1年長かったな~」という充実感あふれるセリフを年の終わりに言ってみたい!

 

ということで、
「歳をとるにつれて時間が経つのが早くなってしまう謎」
について調べてみました。

 

時間が長く感じたり、短く感じたりするときはどんなとき?

① 何かに夢中になっていると短く感じる。退屈だと長い。

 

これは実感としてわかります。
友人と遊んでいた休み時間、楽しい飲み会なんかはあっという間に過ぎてしまいます。
興味のない授業、立ちっぱなしのバイト、そんな時間はなかなか過ぎてくれません。

 

「楽しい時間は早く過ぎ、つまらない時間は長く感じる」
と、よく言われますが、実はこう感じてしまうのは、『時間の経過に、注意・関心があるかどうか』という説もあるようです。
時間の経過に注意・関心が向けられる頻度が高いほど、時間がより長く感じられ、逆に時間の経過をあまり気にしてないときや、時間の経過以外のことに注意・関心が向けられている場合は、時間は短く感じられるらしいです。
時計の存在を忘れるくらい楽しいときは、たしかに時間が経つのは早く感じますね。
逆に、自分が刑務所に入ってたら、はやく1年経たないかな~と時計やカレンダーばかり睨んでいるはず。で、その1年はすんごい長い。はず。

 

② 新鮮なことが多いと時間は長く感じる。前に経験したことをしているときは短く感じる。 Continue reading

「資格」や「免許」が不要な肩書は、とりあえず名乗ってしまえばいい。
そんなアドバイスをよく聞きます。
名刺に、たとえば『経営コンサルタント』とか『WEBライター』って書いてしまった方が本人の覚悟も生まれるし、周りの人もそのつもりで接してくれるので、成長するみたいです。肩書が人をつくる、って言いますし。

 

とはいえ、なかなかそれがむずかしい……。
経験も実績も少なく自信もないのに、いくら資格や免許がなくてもいいとはいえ、『写真家』とか『作家』とか『イラストレーター』って軽々しく名乗れないですよね。
畏れ多いし、そもそもそんな生易しいものじゃないって分かっているからです。
 
でも、いつかは「写真家」って名乗ってみたいという願望もある。
では、どうなったら名乗れるのか。
せめて、この3つの中のどれかを経験できたとき、名乗るきっかけにできると決めていました。
 
1.何かの賞を獲る。
2.自分のことを知らない人から、その肩書で呼んでもらえるようになる。
3.10年くらい続けて活動をしていて、お金を払ってもらえるくらい誰かの役に立つレベルになっている。
 
なかなか道は遠そうです。
わたしのような未熟者は、経験値を増やすしかありません。
ということで、先週も小さな駅前で街撮りをしていました。
時間は30分。(駅前の駐車場が最初の30分は無料だったため)
 
線路をまたぐ歩道橋にのぼり、駅のホームで待つ人などを撮りますが、たいしていい写真は撮れません。まあこんなものです。
移動をしようと歩道橋の階段へ向かいました。
夕日でオレンジ色に染まった西の空。
ファインダーをのぞきながらいい角度を探していると、道の向かい側の2階建ての窓の向こうでおじさんが何か飲んでいるような姿が見えました。
思わずそっちにレンズを向けシャッターを押したくなりましたが、盗撮していると思われるといけないのでなんとか我慢しました。
マナーは守らなきゃいけませんもんね。
 
階段を降り、駅前の広場の方へ行ってみました。
青いイルミネーションが点灯されており、あと2ヶ月もすれば12月なんだなと気付かされます。
青い灯りを前ボケに使ってみたり、背景の玉ボケにしてみたりといろいろと試しながら15分ほど経過。
カメラの背面モニターで確認をしても、またもやいい写真は撮れてません。
まあこんなもんです。
さて、駐車場が有料になる前に帰ろう。
 
車の方へ歩いていると、頭の上から声が聞こえました。
 
「おーい兄ちゃん、写真撮ってくれんね」
見上げると、さっきの2階の窓のおじさん2人がワイングラスを持って差し出していました。
びっくりしましたが、こんないい被写体はなかなかありません! Continue reading

10歳以上歳の離れた従弟(いとこ)の結婚披露宴に行ってきました。
今年の3月に会ったとき、生まれたころから知っている彼は、すごく立派な青年になっていました。

 
こんなおめでたい日にはちゃんとしたカメラを持っていこう。
80名近く参加するみたいだし、いいシーンに出くわしそうな気がします。
 
失敗がないように、前の日の夜から丁寧にしっかりと準備をいたしました。
 
今までカメラに関する失敗はこんなことがあります。
● SDカードが入ってなかった。
● 充電し忘れてカメラの電源が入らなかった。
● 予備のバッテリーを忘れて後半はただの荷物になった。
 
同じ過ちは、もう二度と繰り返したくありません。
 
 

明日の準備をしながら、
「そういえばカメラを持つことが楽しくなったのはいつ頃からだっただろう」
と、思い返していました。

わたしの場合、
「小学生のころから気が付いていたら父親のカメラを手にもって遊んでいた」とか、
「中学生のころに見たアンリ カルティエ=ブレッソンの写真集に衝撃を受けて……」とか、
そんないい感じの理由は一切なく、残念ながら消極的な理由でした。

 

10名を超えるような団体行動があまり得意ではなかったわたしは、グループで遊びに行ったり、何かイベントをやるという機会があると、早く終わんないかな……と、こっそり思っているタイプでした。
(今でもあまり変わってません……)
 
みんなが楽しそうにやっているのに、自分だけポツンと置いていかれているような居心地の悪さを感じることが多かった記憶があります。
 

19歳くらいのある日、サークルのイベントのときに「今日のカメラ担当」の役割になってしまいました。
 
フイルムカメラ時代にこれをやったことある方はご存じだと思うんですが、この役割って結構面倒なんですよね。
まず写真屋さんに行き、当日撮った写真を現像をしてもらいます。 Continue reading

日曜日の昼すぎに、
「今すぐテレビつけて『のど自慢』見てみて!岡くんにそっくりの人が出てるから」
という電話が友人からかかってきたのは、2012年8月19日のこと。

 

その情報は、またたく間にわたしたちの草野球チームメンバーに拡散されました。

「ほんとそっくり」
「うたってる!」
「演歌!しかもめっちゃうまい」
「え、これどう見たって本人だよね?」
「わー-!!岡くんが今週のチャンピオンになった!!」

 

 
テレビの中で岡くんが演歌をうたっているってだけでもびっくりなのに、
うまくてびっくり、
「合格」の鐘が鳴ってびっくり、
「今週のチャンピオン」に選ばれてびっくりの、
現実に理解が追いつかないそんな日曜日となったのを覚えております。

 

わたしたちはそのときまで、岡くんが演歌歌手になる夢を持っていたってことをぜんぜん知りませんでした。

 

この草野球チームは、2006年、わたしと長尾が「野球やりたいね」ってことで、友人たちに声をかけて「お遊び」のような形ではじまったチームです。
2008年、「そろそろ試合したいね」と、人数も9名そろってないのに市の軟式野球連盟に加入し、それから2017年までの10年間、本格的に活動をしていました。
(チーム名はビルズ)

 

最初は試合に出るだけで精いっぱいだった弱小チームでしたが、
長尾がビルズのホームページをつくり、そこからメンバーが少しずつ増えていき、最後は市の軟式野球連盟のC級で優勝するくらいまで強くなった伝説のチームです。
(「伝説」はわたし個人の妄想レベルの主観です)

 

岡くんが初めてビルズに参加したのは、「NHKのど自慢」に出場した前の年の2011年8月7日。
彼が中学3年のときです。
中学生の野球少年から、参加したいとメールが届き、
「こんな弱小チームで満足してくれるのだろうか……」
とか、
「扱いきれないくらい、とんでもなく生意気だったらどうしよう……」
と、監督だったわたしの方がびびっていた記憶があります。

しかし、岡くんはとても素直でまっすぐな少年でした。
チームにもすぐに溶け込み、
「ビルズで野球するのが楽しいです」と言ってくれて、それからずっと参加してくれるようになりました。
 
彼が高校生になったとき、 Continue reading

駅前からカメラを持って、街の中を撮りながら歩いていた日のこと。
 
横断歩道を渡ったあたりの広場で、のぼりを立てて何か演説をされている方たちがいました。
男性が拡声器で演説をし、少し離れたところで女性がピアニカを演奏されています。
哀愁のただようピアニカの演奏で、ムード満点です。
BGM付きの演説をはじめて見ました。
カメラを首からぶら下げたおじさんも、少し離れたところから見ています。
格好からしてプロカメラマンかもしれません。
そのおじさんの後ろ姿全体も入れた写真を撮りたい、と思い、少し離れてカメラを地面に近づけてローアングルで撮影しました。
 
10分ほど経ち、あまり長く写真を撮っているとお邪魔になるかもと思い、名残惜しい気持ちで商店街の方へ歩いていくことにしました。
 
街を撮影しながら歩くときは、あまり考えずにシャッターを押すのがコツ。
いい写真を撮ろうと気負い過ぎずに、「お!」と思ったら撮る。
まるで筋トレをしているかのように何枚も撮る。
カメラが自分の体の一部になってしまうかのようにどんどん撮る。
と、
プロの写真家が言ってましたので、わたしもそれにならって目についたものをどんどん撮りました。
たしかにたくさん撮ると、写真を撮る筋力があがっていく感じがあります。
 
しかし、あとでパソコンのモニターで写真を確認すると10枚に1枚でもいい写真があればいい方で、ほとんどがイマイチな写真ばかり。
撮影の筋力は付きますが、写真の腕前があがるかどうかは、わたしの場合別のようです。
 
(いい写真が撮れてなくたって、この歩いている時間そのものが楽しいと思えるなら、もうそれでいいじゃないか)
などと、言い訳がましく歩いていると、
「すみません、ちょっといいですか?」
と、後ろから声をかけられました。
 
振り返ると、さっきのピアニカ吹いていたおばさまと演説を見ておられたカメラマンのおじさまでした。
(もしかして、ぼくに撮影の依頼かしら?)と頭をよぎったのもつかの間、
「さっき、撮影されてましたよね。下から撮ってましたよね?」とおばさまに言われました。
 
「何撮ってたんですか?」
 
ここでピンときました。
盗撮の目的で撮影していたんじゃないか、と疑われているようです。
 
お2人にさっき撮った写真をカメラのモニターで見てもらい、納得していただきました。
 
「ま、望遠レンズじゃないから大丈夫だとは思ったんだけどね」 Continue reading

夏休みの課外授業として、写真部活動をおこなってきました。

今日のテーマは、人がたくさん歩いている街です。

 

 

あまりにも自由過ぎるといつまでもダラダラと撮ってしまうので、
今日は40分間という制限時間を決めることにしました。
 

しかし、「よし撮ろう!」と思いながらしばらく歩いてみるけど、なんだか集中できない。
心の中から湧いてくる「なにやってんだろおれ、感」がジャマしてきます。

たしか、はじまりはいつもこんな感じだったっけ。

あふれてくる「こんなことやってていいのかなおれ、感」を越えると、
ようやく少しずつ自分が自分に馴染みだすような感覚がやってきました。
 

ということで、

40分後にアラームが鳴るように設定。

では、スタートです。
 

 

左の3人組(↑)は、このあと2回登場します。

 

さきほどのお三方、どこか目的の場所に向かっている様子です。

 

どうやらこのビルの中のお店に行かれたかったみたいですね、
スリランカ料理で召し上がられるのかな…
って、別にどうでもいいんだけど……。
たまたま歩く方向が一緒だっただけです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いい感じの食堂の入口に、いい感じのメニューが並んでました。

 

ガラス窓から店内をのぞくと、いい感じの地球儀が見えました。(食べるのは次の機会に……)

 

  Continue reading

何気ない会話の中で言ってしまった言葉がいけなかった。
「おれ、雲が好きなんだよね~」
「なにそれ?笑」みたいな空気が受話器の向こうから伝わってきました。

 

しまった!油断してしまった。
イベント行事の打ち合わせをしていた電話での雑談で、
友人の女の子についしゃべり過ぎてしまった。
今後、仲間うちでネタにされてしまうかもしれない。
陰で笑い者にされてしまうかもしれない。
「あの人、雲が好きらしいよ」 クスクス。
「まじで!? よくそんな自分に酔ったこと言えたよな」 ケラケラ。
「蜘蛛のまちがいなんじゃねーの?」 グハグハ。
 

なんとおそろしい……。

その夜、わたしは急いで当時の愛読書を押し入れの奥にしまい込みました。
雲、封印です。


 

それからまた数年後。
テレビ番組『アメトーーク!』の「カメラかじってる芸人」の回で、小藪氏が言った言葉でふたたび血の気が引きました。(2013年放送)

「カメラぶら下げて町歩いてるベレー帽斜めにかぶったような女、山ほどいてますやんか。そんなヤツがだいたい撮ってるのんて、空か、ネコ、犬、おしゃれなカフェのカプチーノ上から、絶対これです。あと、あの、ちっちゃいサボテンね」
 
やべえ……。
自分のカメラの中、ななめベレー帽女子とおんなじ。
とくに空。
 
このような経験を通して、わたしは「空が好きだ」「雲、いいよね」と発言することは、「自分に酔ってて、チープで安易でとても恥ずかしいことなんだ」と思うようになりました。
 
そのセリフをどうしても言いたいのであれば、スピードワゴンの小沢くらい振り切ったキャラになって言うしか方法がないんだと。
 
それからというもの、空にカメラを向けるたびに、
「あ、またダメなことしている」と自己否定です。 Continue reading

L⇔Rの黒沢健一が福岡のイムズホールにやってくる!
ということで、それに行ったのは2013年の話。

 

ご存知の方も多いと思いますが、L⇔Rについて少しだけ補足しておきます。
L⇔R(エルアール)は、1990年代に活躍したバンドで、メンバーはボーカルの黒沢健一と、その弟、秀樹(ギター)と、2人の友人だった木下裕晴(ベース)の男性3人です。
(結成した当初は、嶺川貴子さんもいて、4人でした)
『KNOCKIN’ ON YOUR DOOR』で大ブレイクしたので、この歌だけは知ってる!という方も多いかもしれませんね。
1997年に活動を休止。(理由は仲が悪くなったわけではないようです)
その後は、それぞれソロで活動をしていました。
 

L⇔Rがそんなに売れてない初期のころから好きだったわたしと妻は、「にいちゃん」が福岡のイムズにくる!と楽しみにして福岡へ向かいました。

いよいよライブです。
ステージ上から、黒沢にいちゃんが、
「今日は写真も動画もOKです。思い出として撮って帰ってください。ツイッターとかYouTubeにあげてもらっても全然OKです!」
と、にこやかな顔で言いました。
小さなイムズホールの会場は歓声に包まれ、みんなスマホやガラケーを取り出してパシャパシャと撮り始めます。

(さすがにいちゃん、ふとっぱら!しかも時代をわかってる。では遠慮なく)
と、私は足元に置いていたカバンから、先日買ったばかりのフルサイズ一眼レフを取り出して、ファインダーをのぞきこみました。
 
(まさかこのカメラでにいちゃんを撮影できるなんて思わなかったなあ。とんでもない奇跡だよ。やや高かったけどがんばって買ってよかった。この日のために買ったといっても過言じゃないんじゃない?いや〜そしてフルサイズはやっぱ違うな〜。高感度性能がいいから、こんなに暗くてもめちゃくちゃ鮮明に…)

「お客さま!お客さま!」と私は肩を叩かれて、斜め後ろを振り返りました。
さあ、これからシャッターを切ろうと思ったその瞬間に、制服を着た警備員が鬼のような形相で飛んできた模様です。
「やめてください!」
なぜかわたしを睨んでます。
「へ?写真撮っていいんでしょ?」 
「業務用はダメです」
「これ、業務用じゃないんですが……」
「しかし、そのカメラはダメです」
「え、そんな……」
「一眼レフはダメです」
もうそれ以上の問答は一切許しませんという顔をしていました。
 
(べつにバズーカ砲みたいなレンズを付けてるわけでもないし、後ろの人の視界をさえぎるような撮り方もしてないし、なんで携帯とか小さなカメラはよくて一眼はダメなんだ……。にいちゃん本人が、「ドアップで撮るとお肌の荒れがわかっちゃうからやめて」って言ったんだったらともかく……そもそもビジュアルで売ってるアーティストじゃないんだしそんなこと言うわけないし……) Continue reading

「男闘呼組がすっごくかっこよかったから見てみてよ」と妻が興奮気味に言ってきました。
どうやら録画していた昨日の音楽番組を見たらしい。
 
29年ぶりに復活したジャニーズ出身の男闘呼組。
(そりゃ昔好きだった人にとっては嬉しかろう)
と、なんの期待もせずに録画されたものを見てみたら、すんげーかっこよかった。
びっくりしました。
活動休止状態だったらしいけど、
29年ぶりに再結成し2023年8月まで限定で活動するとのこと。

全然ファンでも好みでもなかったんだけど、新曲出たら思わず買っちゃいそうです。
 
若いときよりも歳とってからの方がかっこいいっていいなあ。
年齢は、メンバー4人とも53歳らしい。(2022年7月17日現在)
それを聞いて、
「意外と自分と近い」
と思ってしまったのは、50の誕生日にこれを見たからです。
 
今まで53歳って聞いたら、「向こう側の人」みたいに感じてたのに、
自分が50になったとたん、53が急に身近に感じました。
 
あー自分も50になったんだな~という実感が湧いた瞬間でした。
 
30になったときも、40になったときも、自分がその歳になったことにびっくりした記憶があるので、
60や70になったときも、またびっくりするのは間違いないです。

 

50代でも輝いている人っていっぱいいるな~、と励まされる思いでテレビを観てたら、
最後に72歳の矢沢永吉が登場して、すんばらしいロケンローな姿で歌ってました。
永ちゃん、かっこいい!
 
自分らしく生きている人は、何歳になってもかっこいい!
 
年上の人たちのかっこいい生き方を見てたら、
50代を迎えるのが楽しみになってきました。
 
自分より年上の人が活躍してたり輝いてたりすると、
ボーっと生きてる自分の横顔をはたかれたようで気持ちいいです。
 
「50代なんてまだまだ若造だぜ。やりたいことやりなよベイビー」
って永ちゃんも応援してくれている気がするので、永ちゃんもがんばろう。

4:30に猫に起こされ、それから寝れない。
緊張しているのが自分でもわかる。
ドキドキがどんどん大きくなってきた。
世の中にはもっと大変な思いをしている人はたくさんいるのに。
もっとこわいことに立ち向かっている人もたくさんいるのに。
たったこれっぽっちのことで寝れなくなるなんて……。
なんて情けないんだろう。
自分がどれだけ恵まれているかをちゃんとかみしめなきゃいけない。

もう少し寝たいと体が言っている。
しかし目はどんどん冴えてくる。
空も明るくなってきた。
せみも鳴きだした。
もう寝れそうにない。
ふーっと大きく深呼吸をしてみた。
呼吸をするのを忘れていたようだった。
よし、
がんばろう。
いや、がんばるのはお医者さんか。
よし。
行こう。
いざ、健康診断へ。
(なんと胃カメラ付き)

恥をしのんで公表します。

 

先月、ネット詐欺にひっかかってしまいました。

しかも、ふた昔くらい前のような初歩的な手法に。
金額は少額です。
7,642円。

 

わたしは20年以上、IT業界と呼ばれる業界で仕事をさせてもらっています。
ネット関係のプロとして見られることも多く、「基本的なこと・一般的なこと」は少しは詳しい方かな、と自負もありました。
しかし、もう「プロ」の肩書きははく奪です。
自称プロを名乗るのは、無期限で自粛させていただきます。

 

今の時代、なりすましメールとか、フィッシング詐欺とか、
「そりゃやられても仕方ない」というようなレベルの高い手法もたくさんあります。
しかし、わたしは、
「そんな古い手にだまされるなんて、そりゃおまえがアホいよ」
というレベルに引っかかりました。

鬼コーチが、トスバッティングの見本を見せようとしたら全球空振りした、
そんくらい恥ずかしいレベルです。

なので、ほんとうは誰にも言わずに内緒にしておきたい。
でも、わたしが公表することで、今後もし誰かひとりでも詐欺から救うことができるのであれば……、と思い、ここに書くことにしました。
こんな初歩的な詐欺に引っかかる人はもういないかもしれませんけども……。

 

詐欺に引っかかった経緯をお話します。

 

わたしは毎日、朝4時くらいに愛猫2匹に「おい、ごはんくれよ」と起こされます。
どんなにがんばって寝たふりをしても、最終的には腹の上にフライングボディアタックをしてきて必ず起こされます。
「わかったわかった……」と、よろよろと立ち上がり、カリッカリッとおいしそうに食べてる音をききながら二度寝をする、
それが毎日のルーティンです。

しかしその日はすぐ寝付けませんでした。
ついスマホでインスタを開き、
「この人の写真いいな~」
と、シンガポールのプロの男性写真家、Nguan(ヌーガン?)(ヌァン?)氏を見ていました。
たしかこのNguan氏、去年くらいに写真集を出してあったはず。
眠れない夜は、むしょうに物欲がわきます。
検索。
ありました。
しかし、限定1,000部と書いてあります。
当然売り切れ。
ないと分かると余計にほしくなるのが人の哀しき性(さが)です。 Continue reading

みなさまのおかげで、
来月、弊社は新しい期を迎えることができそうです。
いつもわたしたちを支えていただきまして、ほんとうにありがとうございます。

終わりと始まりの境目の6月は、毎年、年末のような気持ちになりますが、
夏に感じる年末感もなかなか味わい深いものがあります。

 

ちょうど2022年の折り返しの時期でもありますので、
今年できたこと、できなかったことを振り返りながら、
今期をしめくくりたいと思います。

今年は早くも梅雨が明け、セミが鳴きだす本格的な真夏がすぐ目の前です。
元気な方も、今は少し元気がない方も、夏バテしないようにお過ごしください。

 

(※ 梅雨が明けたのは九州南部でした。九州北部はまだみたいです。失礼しました。6月27日)

(※ と書いた翌日6月28日に、九州北部も梅雨明けしました。これは、1951 年の統計開始以来、最も早い梅雨明けとのことです)

 

来期も、1社でも1人でも多くの方のお力になれるように、
さらに成長してまいりますので、今後ともどうぞよろしくお願いします。