どうして「振り込め詐欺」(いわゆる「オレオレ詐欺」)の被害がなくならないんだろうと不思議でした。
昨年(2021年)、このような詐欺事件は、前年比で911件増え、14,461件起こり、278億円を超えるの被害額だったそうです。
ニュースやポスターで、「気を付けて!」ってあれだけ叫ばれているのに、なんで多くの方が騙されてしまうのだろうか、と。
検索すると、たくさんのポスターやチラシが出てきます。
けっこう、わかりやすく警告されています。
いろんな場所に貼ってありますので、みなさんも似たようなポスターやチラシを見かけたことがあるでしょう。
にもかかわらず、今日もどこかで被害者が出ているわけです。
こうやってポスターやチラシでわかりやすく「気をつけて!」と書いてあるのに、
なぜ多くの方が騙されてしまうのか。
ようやくその謎がわかりました。
このよく見かけるポスターやチラシに原因があったのです。
先日、お客様のところでパソコン設定をおこなっていました。
事務所におられたお客様お2人が外出されることになり、
「ちょっとわたしたち出ますから、そのまま自由にお仕事続けておいてください」
と言われました。
「この方は大丈夫だから鍵も渡しておいて」
と社長様は、若いスタッフの方に指示をしています。
「もしわたしたちが戻ってくるよりも先に終わられたら、鍵を閉めて玄関のポストに鍵を入れておいてください」
と、わたしに鍵を渡してくださいました。
事務所の鍵まであずかったわたしは、そのまま一人で作業を続けました。
もしかしたら社長様は、
「人は自分を信用してくれている人を裏切ることはできない」
という人間の心理をご存知だったのかもしれません。
じっさいわたしも、「これからもずっとお客様の信用を裏切らないようにしなきゃ」
と気を引き締めながら、誰もいない部屋でもくもくと作業をしましたので。
と同時に、
(もし自分の本当の姿が詐欺師だったら、けっこう優秀な詐欺師だったかもしれない……)
と頭をよぎりました。
そうか、なるほど。
詐欺師みたいな顔をしていないから詐欺師が成り立つわけであって、
いかにも詐欺師みたいな顔している詐欺師は、詐欺師失格なんですね。
あたりまえだけど。
つまり、
一流の詐欺師は、人畜無害の顔をして、
人畜無害のように思える声、話し方をしているのです。
こんなにも世の中には、警告しているポスターやチラシがあるのに、どうしてオレオレ詐欺に引っかかってしまうのか。
その謎は、『ポスターの顔』にありました。
ちょっと見てください。
どうでしょうか。
ポスター中の詐欺師は、おもいっきり詐欺師の顔をしています。
詐欺師失格の詐欺師です。
人間離れしてしまったとんでもない詐欺師もいます。
このようなポスターを見たら、ほとんどの人はこう思うはず。
「ははは。自分はこんなんに騙されるはずないよ」と。
「これに騙される人ってよっぽど騙されやすい人なんだろうな」と。
被害にあわれた方は、犯人の声しか聞いていません。
しかも、息子や身内の関係者だと思いこんで話しているわけですから、電話の向こう側でしゃべっている人がこんな悪人の顔だってこれっぽっちも想像していないわけです。
なので、
「今回の電話は、よく見るポスターの図式と違う」と判断し、
「わたしは大丈夫。だまされているはずがない」
となってしまうのです。
ということで、ポスターに書く詐欺師の顔は、
「特徴のない平凡でとりえのない人畜無害の顔」バージョンも増やしていく必要があるのではないでしょうかね。
わたしの顔でよければ、使ってもらってかまいませんので。
※ 【追記】
妖怪のポスターのイラストは、
日本を代表する怪奇漫画家、日野日出志さんのプロダクションが制作したものです。
千葉県警生活安全総務課の犯罪抑止推進室が依頼したとのこと。
日野さん自身も、これまでに何度か特殊詐欺とみられる電話を受けたことがあるといい、つい10日ほど前にも電話が。
そのときは撃退したそうですが、「高齢者が、これまでの人生で一生懸命働いて、家族や老後のために貯めてきたお金を、優しさにつけ込んでだまし取っていく。実に卑劣で、許せない」と憤りをあらわに。
「正直、まさかこの図柄で通らないでしょう?とは思ってましたが、なぜかOKを頂きまして(笑)。一人でも被害者が減ってくれれば嬉しいです」と話します。
(引用元:まいどなニュース・広畑 千春)
今回の記事の主張とは真逆のコンセプトのポスターですが、
ぜんぜん否定しているわけではありません。
むしろこのポスター、欲しい……(*´з`)
詐欺師は、詐欺師の顔をしていない。全くその通りだと思います。
また、ポスターで注意呼びかけのやり方も完全に間違いだと思います。
ケンゾウ様、コメントありがとうございます。
ご同意いただけて嬉しいです♪
詐欺で騙された人は、悔しくて仕方ない思いをしているはずです。
そんな人を1人でも減らしていきたいですね。