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食堂のおばちゃんの笑顔と秋の空

仕事がら日中はほとんど外にいることが多いため、昼食の時間も食べる場所もまちまちです。
車で移動しながらサンドイッチをかじったり、行動した先で見つけたお店に入ったり、たまには夕方まで何も食べられないことも。

1年以上前のこと。
仕事で出向いた小さな町で、小さな食堂に入りました。
ほんと「食堂」という響きがピッタリの、なつかしい感じのするお店で、
70歳くらいのおばちゃんが水を持ってきてくれました。
壁の上の方にはテレビがあって、流れているのはNHKお昼のニュース。
店内には作業着をきたおじさんが一人だけ。

はじめて入った店だけどなんかなつかしい。

さて何を頼もうかな…。
店内の壁にメニューがあります。
とんかつ定食…しょうが焼き定食…ふむふむ。

もうひとりのお客様の方をチラッと見てみると、ちゃんぽんを食べておられます。
そこにまた1人男性の客がガラガラと入ってきました。
「おばちゃん、ちゃんぽんね」と入ってくるなり注文。

なるほど、どうやらここはちゃんぽんがうまいんだな。
「ぼくもわかってますよ」的な顔で注文をしました。

お昼どきなのにお客さんはあまり入ってきません。
あんまり流行ってないのかな…
「余計なお世話です」と言われそうなこともこっそり考えながら、
店内の空気をぼーっと味わうことに。

いいな~なんだか夏休みに田舎のおばあちゃんの家に来たような、ゆっくりと流れている時間。

そんな空気を満喫しながら、おいしくいただき店を出ました。

食堂のおばちゃん

それからこちら方面に来るときは、このお店に立ち寄ることが増えました。

3回目くらいのときに帰り際のレジで、「いつもありがとうね」とおばちゃんがニコニコ。
わたしの顔を覚えてくれていたのいたようです。
「おひとりでされてるんですか?」とたずねてみると、
「主人が亡くなってひとりでやっとります。息子が最近作ることもあってね。あなたもたまに来てくれるから助かりますよ」と笑顔で言ってくださいました。

ひとときの交流に胸をあたたかくして店を出ました。

その後残念ながら、その食堂がある町に行く機会がなかったんですが、先日久しぶりに立ち寄ることができました。
約1年ぶりくらいです。

いつもの席に座り、水を持ってきてくれたおばちゃんに、「お久しぶりです」と小さく頭を下げました。
「あ〜どうも」と注文を聞いたおばちゃんはニコニコして厨房に戻られました。
この店の空気感、変わってないな~。
この場所は、時間の進み方が違うんだろうな、物理学的にも。
アインシュタインも言ってたもんね、時間は常に一定の速さではないと。
よー知らんけど。
いや~しかしあんなにうれしそうなお顔をされるとこちらもうれしくなるな~。

またこっちの方に来たらおばちゃんの顔を見に来なきゃだな…。

ひとときの憩いの時間を満喫し、レジでおばちゃんにお金を払いながら、
「なかなかこっちの方に来れなくて…今日久しぶりにこの近くに来ましたので食べにきました、エヘヘ。」

「あら、そうですか」
とあいかわらずニコニコなおばちゃん。

(なかなか来れずさみしい思いをさせちゃったかな…また来ますからね)
と心でつぶやきました。

そのニコニコな笑顔を保ったおばちゃんがお釣りを渡しながら言いました。

 

「すみません、おたくどなたでしたっけ?」 ニコニコ。

 

人のニコニコにはいろいろな意味がありますね…。

食堂の扉を開け、空を見上げると秋の青空が広がっていました。

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