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「そのチョコ、余ってたんですか?」

「パソコンの調子が悪いので見てほしい」という連絡をお客様からいただきました。
ちょうど近くにいたので当日に駆けつけることができ、無事に解決です。
連絡をいただいた社長に「終わりました」と挨拶をして帰りかけていると、社長の奥様から「はい、どうぞ」と、リボンのついた袋に入ったチョコレートを差し出されました。この日は2月14日でした。
 
「え?いいんですか?ありがとうございます」
「どうぞ」とにっこりされる奥様に向かって、
「これ、余ってたんですか?」と尋ねるわたし。
奥様は笑いながら、
「そんなんじゃないですよ。ちゃんと永松さんのためのチョコレートですよ」
と言ってくださいました。
 
なんと野暮な男なのか……。
訪問の予定はない日に急きょ訪問したわけだから、わたしのためのチョコレートではないのは明らかです。
にもかかわらず、お客様は機転を利かせ、すてきな言葉まで添えてくれたのに「余ってたんですか?」って聞く男。
イケてないにもほどがある。
モテないはずである。
 

反省しながら車を走らせていると、小5のときを思い出しました。
 
 
いつもの友達4人で帰宅中、バレンタインデーの話題になりました。
「明日、女子がチョコを男子に渡すという噂が流れてるよね」
「おれ、誰からもらったとしても断るばい」
「ぼくも、もしもらえたとしても、もらわん」
「俺も興味ない」
「うん、みんなでそうしよう」
 
4人の小学5年生男子が話し合いの末、導き出した答えは全員一致で、
「チョコをもらう男はかっこ悪い」
でした。
価値観が思いっきり古い気がしますが、昭和58年の話なのでご勘弁ください。
(今は、学校にチョコを持ってきてはいけないという決まりになっている学校もあるそうですね)
 
翌日、バレンタインデー当日。
ぼくら4人にもチョコをくれる女の子が現れました。
4人で「チョコもらわない同盟」を結束して24時間にも満たないうちに、わたしは「あ、ありがとう」とあっさりと受け取ってしまいます。
 
やばい……友達に見られたらどうしようと思っていると、昨日一緒に誓い合った盟友たちもドギマギした顔で素直に受け取ってる姿を発見。
「なんだ、みんなもらってるやん……」
安心したような、裏切られたような不思議な気持ちを感じていると、教室の後ろの方で大勢の女子が誰かを取り囲んでいるのが見えました。
友達4人の中の1人、カズくんでした。
「おれ、チョコは誰からももらわん」と言い続けています。
チョコをあげようとした子が泣き出して、それを見たクラスの女子が集まってきたようです。
 
「カズくん、受け取らないってひどい」
「カズくん、それはあまりにも失礼じゃない?」
大勢の女の子にやんややんやと言われ、カズくんもしぶしぶチョコを受け取りました。
 
その日の帰り道。カズくんは怒ってました。
「なんで女はあんなにしつこいんやろうか。絶対にもらいたくなかったとやけどね」
続けて、ぼくら3人の手にあるチョコを見ながら、
「みんなももらわされたみたいね」とカズくんは言いました。
「なんかもらわないといけないみたいな感じになってね……」
「う、うん、まったく……」
「ほ、ほんとにまいっちゃうね……」
 
ぼくら3人の手にはチョコが1つ。
「ほんと女子はしつこいよね……」とブツブツと言っているカズくんの手にはチョコが3つ。
 
「女子にチョコをもらうなんてかっこ悪いからイヤだ」と本当に思っていたのはカズくんだけで、ぼくら3人は「自分だけチョコをもらえなかったらかっこ悪いからイヤだ……だからみんなでもらわないことにしようぜ!」という、なんともみみっちい考えからきたものだったのです。
 
ちなみにカズくんは中学、高校になってもずっとそんな感じの人でした。
「チョコとかほんといらんのに……」と言いながら、そこそこ多めのチョコをもらってました。
ぼくもそっち側の人間になりたいんだけど……。
 
わたしといえば、次の日からチョコをくれた女の子を意識し過ぎて何も話せなくなりまして……。
翌年の6年生のバレンタインデーの日には、その女の子が別の男子に渡しているのを見て世の中のシビアさを目の当たりにしました。
 
「義理」でも「感謝」でも「仕方なく」でも「腹立つけど一応」であっても、チョコをだれかにいただけるということはとてもありがたいことですよね。
「粋」に受けとることができる人になれるよう精進いたします。

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