駅前からカメラを持って、街の中を撮りながら歩いていた日のこと。
横断歩道を渡ったあたりの広場で、のぼりを立てて何か演説をされている方たちがいました。
男性が拡声器で演説をし、少し離れたところで女性がピアニカを演奏されています。
哀愁のただようピアニカの演奏で、ムード満点です。
BGM付きの演説をはじめて見ました。
カメラを首からぶら下げたおじさんも、少し離れたところから見ています。
格好からしてプロカメラマンかもしれません。
そのおじさんの後ろ姿全体も入れた写真を撮りたい、と思い、少し離れてカメラを地面に近づけてローアングルで撮影しました。
10分ほど経ち、あまり長く写真を撮っているとお邪魔になるかもと思い、名残惜しい気持ちで商店街の方へ歩いていくことにしました。
街を撮影しながら歩くときは、あまり考えずにシャッターを押すのがコツ。
いい写真を撮ろうと気負い過ぎずに、「お!」と思ったら撮る。
まるで筋トレをしているかのように何枚も撮る。
カメラが自分の体の一部になってしまうかのようにどんどん撮る。
と、
プロの写真家が言ってましたので、わたしもそれにならって目についたものをどんどん撮りました。
たしかにたくさん撮ると、写真を撮る筋力があがっていく感じがあります。
しかし、あとでパソコンのモニターで写真を確認すると10枚に1枚でもいい写真があればいい方で、ほとんどがイマイチな写真ばかり。
撮影の筋力は付きますが、写真の腕前があがるかどうかは、わたしの場合別のようです。
(いい写真が撮れてなくたって、この歩いている時間そのものが楽しいと思えるなら、もうそれでいいじゃないか)
などと、言い訳がましく歩いていると、
「すみません、ちょっといいですか?」
と、後ろから声をかけられました。
振り返ると、さっきのピアニカ吹いていたおばさまと演説を見ておられたカメラマンのおじさまでした。
(もしかして、ぼくに撮影の依頼かしら?)と頭をよぎったのもつかの間、
「さっき、撮影されてましたよね。下から撮ってましたよね?」とおばさまに言われました。
「何撮ってたんですか?」
ここでピンときました。
盗撮の目的で撮影していたんじゃないか、と疑われているようです。
お2人にさっき撮った写真をカメラのモニターで見てもらい、納得していただきました。
「ま、望遠レンズじゃないから大丈夫だとは思ったんだけどね」 Continue reading