WBC、盛り上がりましたね。
侍ジャパンは決勝戦でアメリカに勝利し、世界一となりました。
大会が終わってからも、テレビ、ネットのニュースでは後日談の話題で持ち切りです。
なかでも1番注目されたのは、なんといってもMVPを獲得した大谷選手でしょう。
まるで映画を見ているようなシナリオの中、それを期待以上に演じきったスーパーヒーローは、世界中の人々を魅了しました。
プレー以外の部分でも大谷選手は魅力的です。
相手チームの選手との握手、審判への接し方、試合前のチームメイトやコーチとの笑顔など。
無難なコミュニケーションを基本にしているわたしに比べると雲泥の差です。
海と膿くらい違います。
ガッキーとゴッキーくらい違います。
よし、あの社交性を見習おう。
そして、この業界のオオタニになろう。
大谷と横並びに語られる日がくるように。
試合を見て興奮してたわたしは、小4男子みたいに単純でした。
WBC決勝戦が終わった日の午後、
わたしはフレンドリーコミュニケーションをイメージしながらお客様のところに向かいます。
まず手始めとしてはこんな感じでいいでしょう。
「こんにちは！
侍ジャパン、世界一！やりましたね～！
今日は仕事どころじゃありませんね。いえいえ冗談です。ハハハ。
ちゃんとお約束してた件でお伺いしました」
普段の「無難な対応」、
言い換えれば「おもしろくない対応」に比べれば、
ここまで「開いた対応」ができるなら上出来です。
ボクはオオタニ。ヒラいたコミュニケーションがデキルヒトだ。
そう言い聞かせながら、お客様の扉を開きました。
「こんにちは。
……。
……。
お約束してた件でお伺いしました」
2行目3行目のセリフがナイ。
1行目の「！」もナシ。
そう簡単に自分のキャラは変えられないことを思い知らされました。
少しずつ訓練していくしかないようです。
その日の夕方、さっそくリベンジの機会が訪れました。
頼まれていたパソコン設定の件で、友人のK君LINEを送る約束があったのです。
昨日、K君とやりとりしたときのメッセージは、
「いや～いい試合やった～」
ではじまっていたので、K君がWBCを見ていることは分かっていました。
昼間、お客様のところで言えなかった2行目のセリフを彼にぶつけてやろう。
まあ、友達だし簡単なんですけどね。
でも、そこを意識してやるとなんだか自分が少しオオタニ化したような気分になるのです。
『世界一🏆やりましたね～。
金曜日の訪問はOKです』
と送ると、2分後、返事がきました。
『今からビール飲みながら録画を見るんだから、結果を言うたらいかんばい！！』
や、やってしまった……。
そうなんです、決勝戦は平日の午前8:00過ぎくらいから始まったのです。
たまたまわたしは、試合を生中継で観ることができる環境にいましたが、
仕事で観れなかった人も大勢いたことは知っていました。
わたしだってもし生中継で観れない環境だったら、
録画を生中継のようにドキドキしながら観たいと思ったはず。
ミステリー映画をドキドキしながら見ているときに、
「犯人はこいつだよ」
と、先に映画を観てた人から聞かされた気分だったに違いない。
野球が好きな人にとっては、4年に1度しかない世界大会で、しかもその決勝戦……。
K君はどんだけ残念だっただろう……。
罪の意識でなかなか寝付けませんでした。
使いこなせるだけの器もスキルも持たないわたしが、フレンドリーコミュニケーションをふりかざすと、こんなに誰かをガッカリさせてしまう。
であれば、
おもしろみには欠けるけど、無難コミュニケーションを継続した方がいい……。
オオタニ化はしばらく延期することにしました。
後日談。
数日後、K君に会ったときに、
「ごめん、この前は結果、教えてしまって……」
と謝りました。
「あ～。あれ冗談よ。職場でみんな騒いでたから結果はもう知ってたよ」
大谷と私に謝ってくれ。
（大谷と横並びできた(^^♪）