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「おれは雲を見るのが好きだ!!」

何気ない会話の中で言ってしまった言葉がいけなかった。
「おれ、雲が好きなんだよね~」
「なにそれ?笑」みたいな空気が受話器の向こうから伝わってきました。

 

しまった!油断してしまった。
イベント行事の打ち合わせをしていた電話での雑談で、
友人の女の子についしゃべり過ぎてしまった。
今後、仲間うちでネタにされてしまうかもしれない。
陰で笑い者にされてしまうかもしれない。
「あの人、雲が好きらしいよ」 クスクス。
「まじで!? よくそんな自分に酔ったこと言えたよな」 ケラケラ。
「蜘蛛のまちがいなんじゃねーの?」 グハグハ。
 

なんとおそろしい……。

その夜、わたしは急いで当時の愛読書を押し入れの奥にしまい込みました。
雲、封印です。


 

それからまた数年後。
テレビ番組『アメトーーク!』の「カメラかじってる芸人」の回で、小藪氏が言った言葉でふたたび血の気が引きました。(2013年放送)

「カメラぶら下げて町歩いてるベレー帽斜めにかぶったような女、山ほどいてますやんか。そんなヤツがだいたい撮ってるのんて、空か、ネコ、犬、おしゃれなカフェのカプチーノ上から、絶対これです。あと、あの、ちっちゃいサボテンね」
 
やべえ……。
自分のカメラの中、ななめベレー帽女子とおんなじ。
とくに空。
 
このような経験を通して、わたしは「空が好きだ」「雲、いいよね」と発言することは、「自分に酔ってて、チープで安易でとても恥ずかしいことなんだ」と思うようになりました。
 
そのセリフをどうしても言いたいのであれば、スピードワゴンの小沢くらい振り切ったキャラになって言うしか方法がないんだと。
 
それからというもの、空にカメラを向けるたびに、
「あ、またダメなことしている」と自己否定です。
たまに我慢できずにインスタに空の写真をあげてしまうんですが、もし誰かに「キミ、空の写真多いね」と言われたとしたら、そのときはこう答えようと準備しています。
「そう? 自分じゃ気付かなかった。雲も空も、あくまでも数ある被写体のひとつだからなぁ〜。そこそこきれいな空だったからつい撮ったんだろうな~。よく覚えてないけど」
 

そんな風にして、わたしは自分が雲を見ることが好きだということを積極的に発言することを、約20年ほど封印してきました。

 
しかし、少し流れが変わってきたのです。
ここ近年、「空が好きだ」と公言する人が増えてきたような気がするんです。

● 吉高由里子さん……「雲の写真多くてごめん 空の写真撮る女子苦手な方ごめん でも好きなのよ ひるまないんだから笑」
● 打首獄門同好会junkoさん……「1日中ずっと空見てる。家に帰れない」
 
わたしが「雲好きトラウマ」みたいになってるから、そういうコメントが目に入りやすくなっているだけかもしれないけど。
 

そしてとうとう、ついに20年の封印が解かれるほどの力をもったコメントを見てしまいました。

 

※ 2022年7月30日 石田ゆり子さんのインスタグラムより
 
 

『空を見るのが好きなんですよ。しょっちゅう空を見てる』
って事もなげにあっさり言ってる。

なんなんだ、この潔さ・すがすがしさ・力強さは。

かっこいい……。
 
「ぼ、ぼくも、じつは、空とか雲とも好きなんですよ……えへへ……」
 
今まで目立たないように隠れていたくせに、力の強い人が発言したとたんそれに乗っかる卑怯者の自分が、部屋の隅からノコノコ出て来ました。
そして20年ひとりで胸に抱えてきた思いを、ついに叫びます。
 
 
『おれは雲を見るのが好きだ!!』
声を大にしての堂々宣言。
 
「別にどっちでもいいよ」
「興味ないから好きにしてくれ」
「くらぴょんでもないくせにうるせー」
という反応が聞こえてきたのは空耳でしょうか。
 
結局のところ、
「空を見るのが好き」と発言すること自体にかっこいいもかっこ悪いもなくて、そのセリフを言う人そのものがかっこいいかどうか?が大事ってことに気が付いた2022年夏。
 

宣言をするとかしないとかの前に、わたしの場合は生き方を見直すのが先でした。

くわばらくわばら。

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