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ライカのカメラって高すぎないですか?
芸能人が買うために作られているの?
稲垣吾郎ちゃんしか買えないよ。
(ライカユーザーは他にもいっぱいいます)

 

今回は、写真部長(部員ひとり)のボヤキの回です。

 

ライカとは、ドイツのカメラメーカーです。

レンズ交換式のライカM11なんて100万超えです。
1,188,800円(税込)。(※ 追記:2022年5月10日から1,232,000円に値上げになるらしい)
しかも、本体価格だけでこの価格。
「,」の記号が価格の中に2つも付いているんです!

これだけでは何も撮れないのでレンズも買う必要があります。
プラス10万くらいかな…とライカのホームページを見てみると、
このM型のレンズ、1番安いやつで308,000円(税込)でした。
合計150万円超え。
しかもレンズは1本ではレンズ交換カメラの意味もない。
となると……。

 

ちょっと、値段の話はもうやめましょう。

 

10万円のカメラですらなかなか買えないわたしにとっては、
もはや「欲しい」という感情が湧いてこないくらいの値段です。

ま、憧れはあるけど、現実的に買うことはあるまい。
エルメスのバッグや、パテックフィリップの時計みたいなもんです。

「この2枚の写真、どっちがライカで撮った写真でしょ?」
って『利きライカ』をしてみても、迷いなく正解を言える人なんて1%もいないはず。
さらに現像時に、色の調整をしたあとだったらますます分かりっこない。

つまり、機能的な価値というよりブランドの価値が値段に反映されているわけです。
(もちろん製品自体も素晴らしいつくりですが)

こうやって、ライカに対する興味をそぐようにそぐように日々暮らしていますが、ときおり、ライカのことを書いてある記事と遭遇してしまいます。

『20歳のカメラ女子がライカを買ったら人生が変わった』
とか、
『ライカをもったら日常が輝きだした』
とか、
『撮られる人も自然な笑顔になれるのがライカの魅力』
とか。

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これは死ぬまで誰にも言わないでおこうと思っていました。
自分の中だけに秘めていようと思っていました。

 

これを公言してしまったら、今後の人付き合いに支障が出るかもしれない。
なるべく波風立てずに生きてきた人生を、自ら壊してしまうかもしれない。
嘘つきだったんですね、と信頼を失うかもしれない。
とんでもない詐欺師野郎め!とののしられるかもしれない。

 

しかしもう告白することにします。
墓場まで持って行くには荷が重すぎます。

 

じつはわたし、
「焼きおにぎり」を美味しいと思ったことがないのです。

(とうとう言ってしまった……)

 

昔、居酒屋で、
「締めでおにぎりを頼みますが、
焼きおにぎりと普通のおにぎり、どっちがいいですか~」
と注文をとられたことがありました。
6人中5人が「焼きおにぎり」を選び、
6人中6人目のわたしも、
「じゃ、焼きおにぎりで」
と、平然とした顔をして手を挙げました。

 

出てきた焼きおにぎりを食べながら、みんな口を揃えて言っています。
「焼きおにぎりってやっぱりおいしいね〜」
「この香ばしさがたまんないね」と。
わたしも小さくうなずいたりしながら、
さりげない声で「うん、うまい」と、
あたかも「焼きおにぎり大好きびと」みたいな顔をして食べました。

 

みんなして、自分に嘘をついているはずだ。
焼きおにぎりの味が分かるおしゃれな人間を演じてるだけだ。
そう思いました。

 

あー、どうせおにぎりを食べるのであれば、ふっくらあったかいおにぎりが食べたい。
海苔が巻いてある塩味のきいた白い米が食いたい。
具は、シャケでも明太子でも昆布でも梅でもおかかでもいい。
なんなら具なんて何も入ってなくたっていい。

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パパの気持ち

今日は日曜日。
ネコを健康診断に連れていく日です。
かかりつけの動物病院は、日曜日も午前中だけあけてくれています。
平日はなかなか行けないので、予定のない今日がチャンス。
今日は下の子(モモ:男の子)の番です。

 

先生から、
「ネコちゃんのおしっこを持ってきてもらえる方がいい」
と言われていました。
朝からお玉をもってボーイ(ネコ)がトイレに入るのを待ち構えていました。
猫用トイレでネコがしゃがんだら、すかさずシリの下にお玉を滑り込ませるという技をわたしは編み出したのです。ふふふ。
(もちろん、料理で使うお玉とは別々にしております。書くまでもないことでしょうが一応)

 

朝食のカリカリごはんを食べ、水を少しなめて……。よし、あとはトイレだよボーイ!
と見守ってますが、なかなか行きません。
廊下に出て遊びたがっています。
「よし、すこし冒険しようか」と、2人で廊下に出ます。
ボーイは楽しそうです。
しばらく廊下に落ちていた猫用のボールで遊んでいます。
「しばらく遊びそうだな。じゃあこのタイミングで歯を磨こう」
わたしは洗面所に入っていきました。
ボーイはボールを転がして遊んでいます。
無邪気なもんだ、と微笑みながらわたしはうがいをしました。

 

顔を拭き、廊下に出るとボーイがいません。
リビングに戻ったのかな、とドアを開けると、
ボーイがトイレの砂をザクザクとしています。

 

あー----!!
用を足す前のザクザクであってくれー--!!

砂をかけたところをクンクンとして、ボーイは颯爽とトイレを飛び出し、猛ダッシュで隣の部屋へと駆け出していきました。
世にいうトイレハイです。

 

絶好のチャンスをのがしてしまった……。
なんて間抜けななんだ、おれのバカバカバカ。
ああ、もうお昼寝してる……。
あんなかわいい寝顔、起こせない……。
病院に連れていけないよ~。

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3月11日は、東北にひとり旅をしたことを毎年思い出します。

2017年、法人化するタイミングで、
会津若松市に住んでおられる長尾のご両親に会いに行きました。
もちろんお会いしたのはそれが初めてでした。

こころよく迎えていただき、とてもいい時間を過ごさせてもらいました。
その時間は今でも大事な思い出として残っています。

 

そのあと、
福島県会津若松市~宮城県気仙沼市~岩手県花巻市を中心にレンタカーでまわりました。

それからもう5年も経つのか……。

東日本大震災が起きたのが2011年。
わたしが見た風景は、震災から6年後の風景でした。
それでもまだまだ仮設住宅があったり、荒れたままの土地がいたるところに残っていて、
とんでもないことが起きたんだなと思えるには充分な風景でした。

 

じっさいに体験された方々は、わたしが感じた数億倍も怖い目や悲しい目に合われていると思うと、こうやって文字にしていること自体が申し訳なく思ってしまいます。

残された方が、希望を感じながら生きていけますように。

 

当時の記事を一部、復刻

わたしが気仙沼に到着したときの話は、当時ここに旅の記録として書いてました。
(今は消しております)
久しぶりに読んでみると、当時の記憶がよみがえってきます。
やはり、書いておくっていいことだなあ。

 

ということで、
気仙沼市に到着したときの、当時の記事の一部を復刻します。
(編集あり)

気仙沼駅の前に案内所があったので立ち寄ってみました。
そこのおばちゃんがとても親切な方で、置いてある気仙沼のパンフレットを見ている僕に話しかけてくれました。

(※あらかじめお詫びしておきますが、語尾はわたしの勝手な演出とイメージです。実際はほぼ標準語でした)

「どこから来られたんだべ?福岡?あら~わたし福岡の筑紫野市にお友達がいでね、そんなどころから来てくれてうれしいだっちゃ。いづ帰るんだべさ?」
「明後日の昼の飛行機です」
「だったら明日は北の方に行ぐといいべ。岩手の方まで足をのばすことをおすすめするっぺな」

今夜の食事についても、現地の方ならではのアドバイスをいただきました。

「夜は、魚とお肉はどちらがええべな?」

はい、そこはちゃんとわかってますよ~なんてったってここは海辺の町!
大人の気遣いくらいはちゃんとできますので、
「魚ですかね~やっぱ」と答えると「ホルモン」をおすすめされました。

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紙のノートや手帳になんでも書きたい。けど書けない理由。

浮かんだアイデアや、気が付いたネタ、読みたい本のタイトルなど、
思いついたもの何でも書いてやろうといつも思うのですが、
「もし、これを置き忘れたりして誰かに見られたらどうしよう……」
と思って書けなくなります。

 

お客様から、
「手帳を忘れておられますよ。受付に置いておきますからいつでもどうぞ」
というお電話をいただいたことが15度ほどあり、
もう紙の手帳やノートにいろいろ書くのはよそう、
という結論に達しました。
脳みその中を見られているみたいで、恥ずかしすぎるからです。

 

対策として、
「見られても恥ずかしくないことのみを書く」
「見られたら恥ずかしいな、というものは暗号のような文字で書く」
というマイルールを作って書いていました。
しかし、自分で書いた暗号が解読ができない、という問題が発生したため、
しばらく紙のノートから離れていました。

 

新しい年(2022)になって、
紙の手帳やノートに毎日何かを書きたい欲が数年ぶりに再燃。
今年は紙のノートにいろいろと書いてみております。

やはり紙のノートは相棒感があって楽しいですね。
スケジュール管理はオンラインツールでやるとして、

それ以外のことは紙のノートに書いております。

書きはじめた頃は、当たりさわりのない内容を書いていましたが、
もっと思いっきりなんでも書きたい!!
という欲がやっぱり出てきました。

落書きのようなイラストも、今日の気付きも、思いついたネタも、普段考えていることもセーブせずに書きたい!

なんかいい方法はないだろうか……。

 

恥ずかしいってなんだろう。

そもそも、人はどんなときに恥ずかしいって思うんだろう。

たとえば。

ひとりで店で食事をしてると、友達いないんだな、と思われて恥ずかしい。
ひとりで映画に行くのは恥ずかしい。
貧乏だと恥ずかしい。
身長が170㎝ないと人権がないので恥ずかしい。
中卒だと恥ずかしい。 Continue reading

漫画家の手塚治虫先生は、お亡くなりになる前に、
「隣の部屋に行くんだ! 仕事をする、頼むから仕事をさせてくれ!」
と言ったと言われています。
人は命の危機を感じたときに、その時に一番心を占めているものを口にするのかもしれません。
手塚先生は作品を作り上げることに命がけだったんでしょう。

 

多くの人は、
子供や親、家族や恋人、友人や恩師、ペットや「推し」など、
愛しているものを口に出すんだと思います。

 

しかし、友人の前田くん(仮名)が、窮地に追い込まれて発したセリフは、このどれにも当てはまらない「え?それ?」というものでした。

 

そのときのお話です。
※ このお話には、主人公の前田くん(仮名)以上に存在感のあるZくんが出てきます。
(この場には友人男女10名くらいいましたが、話がを分かりやすくするために、
前田くん(仮名)とZくんの名前しか出しておりません)

 

Zくんが企画してくれたイベントで、夏にバーベキューをしました。
もう20代半ばのころの話なのでずいぶん昔の話です。

 

彼のイベントの計画はいつも素晴らしいものばかりでした。
場所の選定、メインイベントの準備、レクレーション案、
Zくんが決めてくれたその予定に乗っかっているだけで、
わたしたちは楽しい時間が過ごせました。

 

イベント企画力が抜群のZくんですが、
さらにすごいのが「イタズラ企画力」です。

 

「こういうイタズラを●●君にしよう」
とビジョンが見えたら、そこからの逆算力がすごいんです。
いかに不自然に思われないかの伏線を張りめぐらせます。
その日の会話、何気ない親切、すべてが伏線です。
しかも、そのイタズラが成功したときに、笑い話で済むかどうかの安全性の確認までおこなってます。

 

その日のターゲットは前田くん(仮名)でした。

海岸沿いの、少し小高い場所でバーベキューをしたあと、
レクレーション時間にキャッチボールをし、 Continue reading

『ご機嫌で1日をスタートすることが立派な大人というものだ』

と、どこかで聞いて、
そうか、そうだよね、と心がけていますが、これがなかなか難しい。

気がついたら、ムーンって顔しています。
頭の痛い仕事とか、気の重い行事。
家族や親の体のこと。
将来のお金の不安。
向かいたい方向になかなか向かえない現状。

こういった思いが、頭の同じところを高速回転しています。
トラみたいにグルグルまわって、いっそのことバターにでもなればいいのに、
わたしの頭から見つかるものは、闇鍋の具みたいな、なんだこりゃ、みたいな黒いかたまりばっかり。

わたしはまだまだ修行が足りません。

 

頭をスッキリさせて1日をスタートすることは大事だとよく言われている話なので、その手法は世の中にたくさん出回ってます。

とりあえず、うまいパンでも食べよう。

 

「もしもし、アサヒさん?」
「い、いえ……」
「あ、すみません、間違えました」
ガチャ。
「な、なんなんだ……。いま何時……?」

時計を見ると7:30。

「やっば!!」

飛び起きて出かける準備をして、お客様との時間になんとか間に合いました。

「誰か知らないけど、さっきは起こしてくれてありがとう」

 

30~40代になって、
「この電話がなかったら遅刻してたかも」
ってことがしょっちゅう起こります。

びっくりするくらい、いつも誰かが、何かが起こしてくれるのです。
電話、玄関のチャイム、雷、顔を噛む飼い猫などのあらゆる手段を使って。

こうやって何かが助けてくれるのは、
おそらくわたしが10~20代に寝坊ばかりしていたからなんじゃないか、
と仮説を立てています。

わたし担当の守り神に、
「こいつはもう見てられない……。こっちから手を貸すしかない」
と、そう思われたはずです。

ということで、懺悔の意味も込めて、

 

恥ずかしかった寝坊ベスト3

を告白します。

第3位

夕方、お客様のところに約束の時間より1時間早く着いてしまいました。
車を停める場所は共同駐車場。
お客様の会社までは、ここから歩いて5分以上かかります。
当然、お客様からこの駐車場は見えません。
隣には、お客様の従業員さんの車が停まっていました。
来客用スペースに車をとめて、約束の時間まで本むことにしましたが、いつの間にか寝てしまってました。
「あれ?何時?」
と思い時計を見ると、約束の時間を30分過ぎています。
隣の社員さんの車はもうありません。
ハンドルに足上げてリラックスし過ぎたわたしの姿を見られたはずです。
急いでお客様の会社へ飛び込むと、担当の方はまだおられました。
事情を正直に説明すると笑って許していただきました。

第2位

大学1年のときに、第二外国語でフランス語を選択しておりました。 Continue reading

2009年ですから、もう10年以上前の話になります。
企業して3年くらいのときに、
わたしたちは経営コンサルをうけにいきました。

 

2006年にスカンピン(素寒貧)の状況で起業したわたしたち。
当時もなんとかかんとかその月暮らしでやっている状態でした。
そんな状況からもう一歩抜け出したい、
そんな思いがあったのです。

 

共同経営者である長尾が、
とあるルートで開拓してきたコンサルタントのもとへ向かいました。

 

コンサルタントと話していくうちに、
わたしたちの業種の傾向、わたしたちの強みと課題点などが見えてきます。

「ネットも大事だけど、リアルも大事だよ」
というアドバイスもいただきました。
その辺のバランスが崩れていたな~と気付き、
とても有意義な時間でした。

 

もうそろそろ終わりの時間です。
今日は来てよかったな~、もっとやれる気がしてきたぞ~。
と、明日からの仕事に向けて意欲が高まっていました。

 

最後の質問タイム

「では、最後に社長に質問です」
「あ、はい」とわたしは答えました。

「経営者にとって1番大事なことってなんでしょうか?」

「え……? 1番ですか……。なんだろう……」
「この要素は経営者にとって大事なんですよ」

 

わたしは通常の8倍速で頭を回転させました。

 

「えっと……、『人の話を聴くこと』ですかね……」

「あ~……それももちろん大事なんですけどね……」
とコンサルタントは少し顔が曇っています。

(しまった……違ったか……ガッカリな顔させちゃったな~。
社長としての素質ないな~と思われてしまっただろうな……)

  Continue reading

昨年に引き続き、忘年会はソロキャンプ(テントは別々)×男2人というスタイルでおこないました。
本格的なソロキャンパーの長尾に、「キャンプっていいよねー」レベルの私(永松)が乗っかるというキャンプです。

 

2人でキャンプをするのは今回で4回目ですが、
「極寒」(20209月)、
「超極寒」(202012月)、
「夜から大雨」(20215月)、
というように、『キャンプとは修行である』という本でも書けそうな過酷なキャンプ体験が続いています。

過去の経験を活かし、今回はさらなる防寒対策アイテムを持ってきました。
8
㎝のエアマットです。
これを敷いて寝れば、修行感はだいぶ取りのぞけるんじゃないでしょうか。

 

長尾がセレクトしたキャンプ場(大牟田市)もきれいで快適でした。
この日は12月にしてはあたたかく、気温も天気も問題なさそう。
防寒対策アイテムも増えてることだし、いやな予感はまったくしません。
今日こそ夜中に寒さで飛び起きて火を起こしたりせずに、朝までテントで寝れそうな気がします。


(上の方にみかん畑が見えます)

受付を済ませ、車から荷物をおろしながらの話題は「アナグマについて」でした。

「最近、アナグマが出てるみたいなんで、寝るときは食事の残りなどは外に置かれたままにしないなど、お気をつけくださいね」
と受付のお姉さんに言われたのです。

「クマ」という響きにビビりましたが、調べてみると見た目はタヌキのようなアライグマのような感じ。 Continue reading

「秋」を実感できる町、『うきは』。
10月から11月にかけて、うきは市辺りを通ると秋の景色に心がいやされます。

うきは市は柿が有名です。
『耳納山麓一帯は西日本随一の富有柿の産地』。
うきは市のホームページにはそう書いてありました。
たしかに、町へと延びる斜面が、柿の実と紅葉でオレンジ色でした。

午後の予定が比較的ゆっくりだった日のことです。
移動中の車の窓から、
雰囲気のある建物に柿がぶら下げてあるのが見え車を止めました。
いい感じの秋の写真が撮れそうな気がしたのです。

干し柿にカメラを向けていると、
少し離れたお店の入り口からおじさんが出てきました。
どうやらここのお店の方のようです。

「この柿、写真を撮らせてもらっていいですか?」

少し距離が遠かったこともあり、
お言葉があまり聞き取れませんでしたが、
ニコニコしてうなずいておられたので、
「いいよ」ってことだと分かりました。

(こころよくOKをくださってよかった…)
と思いながら、カメラを覗き込んでいました。

すると、おじさんがこっちに歩いてこられます。

「わたしも……カメラ……撮って……」
ところどころ聞こえなくて、
わたしは、
「え?おじさんも一緒に撮っていいんですか?」
と、聞き直しました。

「柿とわたしを一緒に撮っていいよ」と言われたんだと思い、
(これもこの店のサービスの一環なんだろうか……。おもしろいサービスだな……)
と思っていると、
「いやいや」
と手を顔の前で振りながらおじさんがいいました。

「わたしも一眼レフでカメラ撮ってるよ」
と言い直されて、体を反転させてすぐ入口の方に戻っていかれました。

わたしはその背中に向かって、
「あ、写真撮られるんですね!」
と言いながら、おじさんの姿にカメラを向けてシャッターを押しました。
間に合わなかったけど、照れくさそうに笑ってらっしゃるのが写ってました。

一眼レフっぽいカメラ(実際はミラーレス一眼ですが)を持って、
距離をかえ、絞りをかえ、あーでもないこーでもないと撮影している姿は、
おじさんには「同志」のように見えたのかもしれません。 Continue reading

「スタバ」「エゴサ」「クレカ」に「なる早」。

日常的に使われる長い単語や名前は、絶対に3文字か4文字に略さなきゃダメだってルールでもできたみたいに、略語は身近な存在になってますね。

「スクリーンショット? あ、スクショのことですか?」
略語の方じゃないと意味が伝わらないっていう逆転現象も起こったりします。

日常にすっかり定着してしまった略語もたくさんあります。
「ワリカン」「チューハイ」「ミーハー」「食パン」「切手」などなど。

挨拶も親しくなると短くなりますね。
「あざす」(軽めのありがとうございます)
「ザス!!」(気合い入れておはようございます:主に朝礼で使用)
「チース」(チャラめのキャラが使うこんにちは)
「ごめ」(軽めのごめんなさい)
「もはん」(長尾にごめんなさいというとき)

なんの略語か知らずに、間違った使い方をしていたものもあります。
「断トツ1位」って、「頭痛が痛い」と同じ二重表現ってやつになるそうです。
「断トツでトップですよ」って今まで平気で使ってたような気がする……。

略語にまつわる話になると、忘れらなれい思い出があります。

20代のころ、仕事で工事部の段取りを調整するという役割をしていたことがありました。

現場を回っている工事部の方たちに電話をして、
「急ぎの対応希望の連絡が入ったんですが、今からここに行けますか?」
と聞いたり、逆に工事部の方から、
「トラブルがあってここが長引きそうなんで、次の現場、他の人行ってもらえませんか?」
というような連絡が入ったりして、それを調整するような役割です。

ある日、工事部のIくんから電話がかかってきました。
「今の現場で手持ちにない材料が必要になったんで、今から買いに行っていいっすか?」
という連絡でした。

「いいですよ。近くにその材料売ってる店ある?」
「ありますあります。車で10分くらいのところにカホムセンがあったんで、そこで買ってきますね」
「ん? ああ……、そっか。じゃ、よろしくお願いします」
「ラジャーっす!」
と元気いっぱいにIくんは答え、電話を切りました。

カ、カホムセン……。
家庭用ホームセンター?

わたしは電話を切ったあと、ひとりで考え込んでしまいました。

なんだその略語。
これはさすがにオリジナルだよね……。
ホームセンターをそんな言い方している人聞いたことないし。 Continue reading

自分の集中力のなさに嫌気がさしたわたしは、コンセントが自由に使える「お店」に来ました。
(カフェと書くのはなんか恥ずかしい)

よし、ここなら集中できそうだ、
と作業をはじめようとパソコンを開くとネットニュースが飛び込んできました。

見るつもりもなかった記事をついクリック。
自分が応援している人の記事のコメント欄に、批判のメッセージが並んでいるのを発見。
「そうは思わない」
「そうは思わない」
「そうは思わない」
気がつくと、親指が下向いたボタンを一生懸命クリックしている自分に気が付き、我に返りました。

「いかんいかん、集中集中」と深呼吸。

すると今度は、スマホの通知がブルブルと鳴りました。
通知を確認して、また速やかに本来の作業に戻れば何も問題がないのですが、
そのついでにまたSNSなんかチェックし始めたりします。

進まない。

わたしたちが生きている今の時代は、選択肢が多過ぎますよね。

ネット記事、ツイッターにインスタ、フェイスブック、ゲーム。
漫画、雑誌、本には電子版までありスマホがあればなんでも読める。
YouTubeを開けばおすすめ動画がいくらでも出てくるし、
ドラマ、映画もスマホで観れる。
ポッドキャスト、ネットラジオ、Voicyなどの音声コンテンツもものすごい数の番組があります。
魅力的な誘惑だらけです。

誘惑に負けない集中力を身に着けたい!
と思ってはいるんですが、
意思の弱いわたしははなかなか勝てません。

なんかいい方法はないものか、と考えていたら昔のある場面を思い出しました。

ずいぶん前の話ですが、わたしは1人でフェリーに乗っていました。
携帯電話がまだ普及していないくらいの昔の話です。

目的地到着まで12時間以上かかる船旅でした。
持ってきた文庫本も読んでしまったし、
甲板で海を眺めるという贅沢もじゅうぶん満喫したわたしは、やることがなくなってしまいました。

まだまだ先は長い……。

退屈しのぎに、休憩室(パブリックコーナー)に行ってみました。
たたみ部屋に座椅子が置いてあって、
退屈そうな大人たちがすでに15名ほど座っています。
あと5人くらいは座れそうです。

いっそのこと眠れてしまえばいいのに、
まだ空は明るくいっこうに眠くなりません。

どうやらこの部屋は、眠れない退屈な大人たちが集まった部屋のようです。

外を見ても、同じ表情の海と空がずっと続いているだけ。 Continue reading

「ヒファア゜ア゛ーー!!!!!」
自分でも聞いたことのない叫び声が自分の口から飛び出していました。

のんきにまんじゅうをくわえながら、自宅の玄関から外へ出たときのことです。
ドアを開けて1歩踏み出したときに、足元、視界のすみっこで何か細長いカゲをとらえました。

もうこうやって文字にすることすら恐ろしい……。
本当は書きたくなんかない。
思い出したくもない。

そいつの名前を入力するだけで体が固まってしまいそうになる。

わたしがこの世で一番恐れている生き物、ヘビでした。

今回はとてもヘビーなお話になります。

遺伝子レベルで恐怖を感じる生き物っていませんか?
ほとんどの方が、ヘビ・クモ・ゴキブリ・カエルの4つの中にいると思うんです。
たかがヘビくらいで……、と思われた方は、自分の苦手な生き物に置き換えてみてください。
テキストに変換できない叫び声が出てしまったのもご理解いただけると思います。

わたしも叫びましたが、向こうも怖かったんでしょう。
1メートルくらいの体をまるでアニメのように大げさに上下させながら、一目散に逃げていきました。

その姿を見てさらに全身の力が抜けました。
リアルなホラー映画でした。
くるぶし辺りにやつのしっぽが触れた感触が残っていて、アキレス腱に力が入りません。
フラフラと家の中になんとか戻り、ソファに沈みこみました。

この町で40年近く暮らしているが、こんなことは一度もありませんでした。

(た、た、たたりかもしれない!)
そう思ってしまったのには理由があるのです。
実は3日前、田んぼ道を運転中、にょろにょろしたやつが急に飛び出してきてタイヤで踏んでしまったんです。

数メートル先で車をとめて振りましたが、地面にその姿はありませんでした。

(姿もなかったんだし、きっと大丈夫だ……忘れよう……)

なんども口にしながら車を走らせました。

しかしその夜、彼は夢に出てきました。
6匹くらい仲間を引き連れて。
思いっきりリアルな夢でした。
わたしは許されていない気がして、目をつむって布団をかぶりました。

わたしはそれからずっと怯えていたのです。
恐れが強いと逆にそれを引き寄せてしまう、
ということを読んだことがありますが、
まさにわたしの恐れが「玄関待ち伏せ作戦」という形となって現れたのかもしれない……。

(もし、今の時代が戦国時代だったら、自分は「腰抜けのヘタレ野郎」って笑われていたんだろうな……。

もし敵国のやつらがヘビ人間だったら、家で布団をかぶって震えているだけの男だったかもしれない……)

など、いろいろと考えていました。

いやいや。
と自分が自分に反論をしました。 Continue reading

あんパンを見るたびに、あの日に戻ってやり直したいって思います。

もう10年前の話です。(※2021年現在)

 

広島市のお客様から連絡がありました。

わたしが博多(東通西日本株式会社)に勤めていたころからのお客様で、
会社をたたむためビジネスホンの撤去などをお願いしたいというご依頼でした。

福岡県から出向くとなると、お客様に交通費がよけいにかかってしまうので、
「広島市内の工事業者さんを紹介しましょうか」とご提案しました。

「交通費は出しますので、ぜひおたくにお願いしたい。最後ですから」とのお返事。

こんなこと言われたら、わたしは北海道だってラオスにだって行きます。

東通西日本さんに相談をしました。
「そっちで対応してくれるとありがたい」
と、言っていただき、気兼ねなく行かせてもらいました。

翌週、わたしたちは広島へ。
3速までしかないサンバー(軽の工事車両)に長尾と乗り込み、
エンジンを唸らせながら高速道路で約4時間。

午前11:00。
広島市に到着です。

久しぶりにお会いした社長は、
「わざわざ遠くまで足を運んでもらってすみませんね~。
40年以上やってきた会社をたたむ理由は年齢です。ま、時代的にもこの業界は厳しいからね〜。ちょうど定年退職みたいなもんです」
と照れくさそうな笑顔でした。

長年、一緒に働いておられた奥様もすがすがしいなお顔をされてあり、
最後の締めくくりの工事をうちに任せてもらえたことを光栄に思いました。

わたしたちはお昼をとらずにそのまま作業に入ります。

そうです。
『今日は仕事を終わらせてゆっくり美味しいものを食べよう計画』の日なのです。

 

めったに行けない街への出張の楽しみといえば、ご当地の食事ですよね。

広島といえば『広島風お好み焼き』です。

関西風のお好み焼きも大好きなんですが、
以前、広島に行ったときに食べたお好み焼きが衝撃的でした。

鉄板の上にクレープみたいにうすく小麦粉をのばし、そこにたっぷりの千切りキャベツ。

豚肉やイカ、または牡蠣などの具と麺が加わり、
薄く焼かれた卵にひっくり返され、なんやかんやでまたひっくり返されたりしながら、
仕上げにネギがかかって…。
甘辛いソースが熱々の鉄板に落ちて香り立ち、これがまた食欲をそそるんですよね~。

要するに、美味いんです。とても。

東北からやってきて5年目(※2011年当時)で、
広島に来るのが初めてという長尾に、ぜひ本場の味を食べさせてあげたい。 Continue reading

【正義の味方に憧れてた】

すっごい悪いヤツをやっつける正義の味方。

怪獣、鬼、悪魔、極悪人をやっつけるそんなヒーローに憧れてました。

ウルトラマンも仮面ライダーも水戸黄門も半沢直樹も、
「まったく同情のできない悪いやつ」を、
ぼくらの代わりにやっつけてくれるので、その日はぐっすり眠れます。

桃太郎もそうです。

敵は鬼なので「完全悪」の存在。

その鬼をやっつけることに何の疑問もありません。

桃太郎が鬼に勝った!
人々に悪さをしていた鬼をやっつけた!

ばんざい!
めでたしめでたし。

そう思ってました。
このイラストを見るまでは。

【ヒーローの正体】

考えたことがなかった。
桃太郎がやっつけた鬼に子供がいて、泣いてる姿なんて。

これは2013年度の新聞広告クリエーティブコンテストの
「しあわせ」というテーマの最優秀賞をとった作品です。

※ コピー: 山﨑博司さん
※ デザイン・イラスト:小畑茜さん

たまたま読んでいた本で見かけて、
頭を殴られたような気持ちになりました。

敵を殺したこちら側のヒーローは、
向こう側では悪魔と呼ばれてる。

ヒーローの正体は、
限定された世界から見た、ただの一方的な解釈
に過ぎなかった。

消しゴムの怪獣をこてんぱにやっつけて、
100%絶対的な正義の味方ぶっていた小さい頃の自分にビンタしてやりたいです。

自分が立っている場所から世界を見る、
ってだけではなく、
反対側の立場からこちら側を見る力、
をもっと身に着けていきたいと思っています。

【反対側からこちら側を見る力を鍛えるために】

そんな力を鍛えるには「物語」が効果的。 Continue reading

「あんたはよかね〜、コンピュターを使いきるけん」

パン屋さんでパソコン作業をしていたら、知らないおばちゃんに話しかけられました。

この話は、自分のノートパソコンにコーヒーをこぼしたあの日の続きです。
そのときの記事はこちら

店内はお客様が出たり入ったり。
もともとここはスタバじゃなく、パン屋さん。
なので長居をするお客さんはそんなにいません。

2時間もいるのはわたしとおしゃべりの止まらないおばちゃん2人組だけです。

新型コロナ感染症緊急事態宣言が発令されていない時期のお話です。食後は、わたしもおばちゃんたちもマスクを着用しておりました。一応補足しておきます)

話題が次から次へと出てくるおばちゃんたちもとうとう立ち上がりました。ようやくお開きのようです。
そのおばちゃんがわたしの隣を通過しようとするときに、その足が止まりました。
視線を感じました。

ん? 
見上げると、
「あんたはよかね〜、コンピューターを使いきるけん」
と、冒頭のセリフをおばちゃんから投げかけられました。

話かけられることを想定しておらず、しかも「はい」なのか「いいえ」なのかどう答えていいか分からずモゴモゴしていると、


「わたしもね、20年くらい前にね、コンピューターくらい使えるようになりたかね〜と思って旦那にそげん言うたとよ。
そしたらね、
50も過ぎてそげん難しかことはどうせしきらん。やめとけ』と反対されてね、
『そうね〜やっぱ無理かね〜』と自分でも思ってあきらめたとよ。
でもね、やっぱりあの時、しとけばよかった〜!
旦那の言うこととか聞かんどけばよかった〜!
と今になって後悔しとるんよ。
あたなみたいな人「SE」っていうとやろ?
20 Continue reading

12月某日、男性2人でキャンプに行ってきました。
会社の忘年会を兼ねて。

ソロキャンパー長尾に、素人キャンパー永松が乗っかった形での『ソロキャンプ×2』のスタイル。

(テントはそれぞれ別なのでソロキャンプと呼んでもいいらしい)

今回は、星野村池の山キャンプ場(福岡県八女市星野村)にやってきました。
9月末にも2人で別のキャンプ場(佐賀県の北山キャンプ場)に行きましたが、9月ですら夜は極寒でした。

山をなめてはいけない。しかも今回は12月。
今回は寒さ対策をさらに強化して臨みました。

キャンプ、流行ってますね。
12月とはいえ先週の土曜日は予約でいっぱいだったようです。
しかしこの日は平日ってこともあり、わたしたち以外誰もいませんでした。
もしひとりで来ていたら『完ソロ』と呼ばれる状況になってたわけです。
(完ソロって言葉も長尾から始めて聞きました)

誰もいないので場所も選び放題。
トイレや水道や街灯も近くにあり便利な場所を確保しました。
天気予報ではまあまあ暖かい方の12月ではありましたが、やはり寒いです。
まだ日は暮れてないのに火の前から離れられません。

ってことで、お互い体のあったまるスープ料理を作ることに。
わたしは簡易的な豚汁を、長尾はスパイスとかスペアリブとかが入ってるシンガポールチックなものを作ってました。
(バクテーとか言ってたような…)
「材料の分量とかかなり適当そうだけど大丈夫?」
と思いながら少しもらって食べてみると、
「うんめー!」と声が出るくらい美味かった。

(↓スペアリブが写ってないですが、中にちゃんと沈んでおります)

スープを飲むと体があったまります。
一度飲むと30分くらいはポカポカ気分。
でも日が暮れるにつれその効き目もどんどん短くなっていき、10分おきに何か飲まなきゃいけない気温になりました。
気温と胃袋は反比例の関係のようで、気温が下がると腹が膨らむことになります。

食べて飲んでばっかりではありませんよ。
仕事のこともちゃんと話し合いました。
来年の方向性、新しいビジネスのアイデア、課題になっていること、チャレンジしたいことなどなど。

夜も更けていきます。

10:00ころ、宴もたけなわではございますが…ってことでそれぞれのテントへ逃げ込みました。要は寒いんです。

テントの中は、防寒アイテムのおかげで9月のときほど寒くない。
けど、寒いのは寒い。
マグマカイロが腰あたりで不愉快なくらい高熱を発している。
顔は冷たい。
温度差が激しい。
お世辞にでも快適とは言えない。
「早く朝にならないかな…。夜って長いな…」 Continue reading